電子譜面台の考察

先日、銀座を散策中、「山野楽器」で電子譜面台「MusicPad Pro」の実機を発見。

Y090202014

誰しもが夢見る近未来的発想な電子譜面台。
当然、まだまだ普及しない代物であることは察しの事情であるが、
その話題を中心に某会員制メールマガジンのコラムで取り上げてみたので、
ここでさらに考察してみたいと。

そもそも楽譜が紙ベースのアナログでありつづける点はなんであろう。
1)可搬性
2)使用する場所を選ばない
3)取り回しが楽
4)保管・管理のしやすさ
5)価格、値段、楽譜流通のインフラ

これらをクリア、ないしは、これを超えるアドヴァンテージがあれば「電子譜面台」に未来はあるかもしれない。
以下、紙ベースの楽譜との比較などを中心に可能性を列記してみる。

1)持ち運びについては、電子譜面台も確かに配慮した感触があるが、それでも、なお本体ディスプレイだけでも重量は意外にある。ついでに譜めくりようのフットペダルやスタンドなどアクセサリー一式ならなおさらである。日常で楽器と一緒に持ち歩くには、まだまだしんどいだろうと思われる。

画面スペース的にも狭い。例えば見開きに対応して、既存のピアノ譜面立てに載せられるようになると、需要は一気に高まるだろう。結局は折畳み可能であったり、丸めて収納できるような「電子ペーパー端末」であれば実用性はアリ。

しかし、現時点でも、かさばるほどの楽譜を持ち歩く必要のあるシチュエーションでは重宝するかもしれない。

例えば、旅回りの指揮者あるいは演奏家(アシスタントなし)、楽団ライブラリアンなど…
にしても専用ハードウェアを求められる以上、やはりかなりむつかしい。

2)電子譜面台において、使用場所での「電源の確保」が一番のネックとなる。屋内、外問わず、設備された舞台やステージなどに限定されるだろう。想定外の場所などでの電池駆動は、まだまだ心もとない。

とはいえ、返せば、あからじめセッティングされた場所や備品として扱うようなスタジオにおいては、利便性が高いだろう。これは1)の条件をもクリアしているという意味においても。

一方で現時点で有用なシチュエーションは考えられる。

例えば、オペラやミュージカル、イベントなどのオーケストラピットや、演劇における舞台上の生演奏など「暗転」を伴う上演において。画面の光量によるが、譜面灯の準備やチェックが省けるだろうし、ただでさえ暗闇での楽譜の扱いは神経を使うが、これらが解消されるかもしれない。すでに譜面灯の設備がある場所ならば、電源が確保されているはずだろう。

3)取り回しにおける柔軟性は圧倒的に紙であろうが、2)の述べたように、電子譜面台が常態である演奏現場においては、むしろ手軽になる可能性がある。

例えば、あらかじめ使用する電子譜面を事前に用意しておき、出先へのデータの移動で事は済む。つまり物理的に荷物を減らせる。

もっと進化的に考えてみるならば、オーケストラ全員の奏者が電子譜面台を使用するならば、ほとんどの奏者が「譜めくり」から解放される、特に弦楽器ほど有益だろう。

さらに指揮者も電子譜面付指揮台で、指揮者と奏者すべての譜面台がネットワークに接続されているとしよう。画面共有などで、指揮者の口頭の指示のみならず、画面上でのタッチペンによる楽譜に対する指示やメモ、スコア上の例を引用したPowerPointのように説明が繰り広げられるかもしれない。

いずれにしてもハードウェア的な制約があるが、このような近未来的な活用も考えられる。

4)保管と管理に関しては、ここ数年、デジタル領域がアナログに迫る感じがある。
デジタル書類術などで語られるのと同じで、ScanSnapに代表されるドキュメントスキャナーとPDFによる管理が一気に加速した時期に重なる。コンピューターの整理術となんらかわりない。

楽譜における状況といえば、いまだなお、変型版のサイズが多いことであろう。スコアもB4サイズ以上はあたりまえである。判型の大きな書類の取り込みには、いまもなお苦労する。

一方で国内でも比較的普及している代表的な楽譜作成ソフト「Finale」からの出力を考えると、むしろデジタルの取り回しの方が、応用が利くかもしれない。
これらで作成された楽譜版下は、そのままPDFや画像ファイルなどに変換できる。学校や演奏団体・楽団など、大量の楽譜ライブラリーを扱うようなケースでは、すべてをデジタル書類化することで、保管スペースや心理的負担から開放されるだろう。

進化的に考えるなら、ぜひともWi-Fiを搭載するべきである。データ保管のサーバーから必要な時に必要な楽譜データを端末に送り込む。「あの曲だけ自宅に忘れた!」などの外出時のうっかりをカバーできるかもしれない。

楽譜送達の手段の変遷は、手渡し→郵送→FAX→電子メール→Wi-Fiである。

とはいえ、楽譜である以上、NoCopyや権利周りの処理などはつきまとうだろう。さらに、現状の電子譜面台では、汎用性のない、特殊な形式やフォーマットを使用しており普及の足止めにしかならない。

5)電子譜面台の価格は、2009年の現在でも10万円を超える。バランスを考えてもまだまだ手が出しづらい設定である。1)で述べたとおり「電子ペーパー端末」の普及と近いタイミングで変革が起こるかもしれない。

そして、楽譜の流通も一般書籍と同じ、これまでの長い歴史の中、出版社、楽器店から消費者へのルートが確立されている。これが電子楽譜になれば、現状の電子書籍のダウンロード型販売の形と同じ形態となるだろう。過去の作品のデジタルコンテンツ化には、それ相応の期間を要する。

現在でもPDFフォマットやFanaleデータでの楽譜ダウンロードの販売は専用サイトで行われており、これらは個人でプリントアウトや楽譜ソフトでの再利用がメインとなるが、これが直接、電子譜面台での表示・利用が可能となれば、相乗効果的に普及すると考えられる。

 以上つらつらと考えつくところを…。これら踏まえて、電子譜面台のアドヴァンテージを発揮する具体案としてこんなのはどうだろう。例えば「楽譜出版予定のある楽曲のレコーディング現場」においてである。

・作曲者(編曲者)は、スコアをFinaleなどで作成する。
・完成されたスコア(データ)は、すぐに写譜業者へと電子メールなどで入稿。
・写譜業者では、スコアのデータからパート譜を作成。データのまま納品。
・納品された楽譜データは、そのままスタジオに備え付けの電子譜面台端末にアップロード。データなので単純に人数分のプルト増しやスコアコピーなどの作業は一切省かれる、もちろんデリバリーも。
・実際にレコーディングで使用された楽譜データは、奏者による書き込みなどメモ書きを含めた形で保存、それをデータとして回収する。
これは後日、出版用楽譜を編集する際に反映させる目的である。ここまでの一切の行程はペーパーレス。

初見である点、プライベートでない譜面であることが条件であるが、電子譜面台の改良とスタジオ整備の予算が叶えば、比較的早期に導入可能ではないだろうか。

| トラックバック (0)

パート譜の印刷をしようとすると、強制終了する問題

Finale2007からの「パート・リンク」機能は、スコアのファイルから別ファイルに書き出すことなく、ひとつのファイル内でパート譜の編集・管理ができる。

この機能によるトラブルについての覚書。
知人の話によると、パート譜の印刷ができなく、突然強制終了してしまうという。
その問題のあるファイルをもらって、当方の環境でも試してみたところ、確かに同じような状況に。

サポートによって解決法がわかった。
問題は「ファイル情報」の「スコア譜名(パート譜名)」である。

Picture3

Windowsで作成されたファイルを、Macで編集した結果
スコア譜名が文字化けを起こしていたのである。
これを適当な日本語に書き換えた結果、見事に印刷ができるように。
意外な盲点。非常にレアなケースだが、こんなこともある。

作曲家の為の「楽譜の書き方講座」1_声部やパートの指定

(本書「音色の設計図としてのスコア」に関連する補追です。)

しばしば、オーケストラや吹奏楽などのスコア上で混乱、誤用されがちなものに以下の表記がある。(ちなみにピリオドがあるものは省略表記)

「div.」「unis.」「solo」「tutti」 「a2(a3など)」「one play」「all (play)」

さて、必ずしも正しい用法とは断定できないが、より分かり易い、スマートな使い分けを以下にまとめておこう。

1)まず、必ず「対」で使われるものを整理しておく。一方の指示の後には、必ずもう一方でリセットされる。「div.」の後に「tutti」は使わない。
「div.」←→「unis.」
「solo」←→「tutti」
「one play」←→「all (play)」、あるいは「tutti」

2)「a2」と「unis.」の違い
・複数のパートが、一段にまとめられた譜表において使われるのが「a2(a3など)」よって、この譜表上では「div.」と「unis.」は使わない。(もともと複数のパートなのだから、分割とはいえない)

例)Flute1,2やHorn1,2などの一段譜表で、どちらのパート(1stも2nd)も同一であることを指示するには「a2」を用いる。その後、声部が複数に戻り、それぞれの担当パートに戻るところに「div.」の表記は不要。

・「unis.」は「div.」の対語。「div.」は一つのパート内で、さらに声部を分割するときに使われる。
例)Clarinet1の一段譜表で、さらに声部を2つに分けるときには「div.」を使用する。その後、分割された声部が、元来の一声部に戻るところには「unis.」を表記。

※「a2」と「unis.」が混用されるケースが多いのだが、これらの使い分けは、つまりどっちの状態がデフォルトか?である。もともと複数のパートでならば「a2」であるし、もともと一つのパートなのであれば「unis.」である。

3)複数のパートが、一段にまとめられた譜表において、どちらか一方のパートだけを指示するには、そのパート名(1.とか2.)を表記するか、声部を上下に分けて、片方の休みのパートには休符を記す。あるいは、上記2つの併用。

例)Horn1,2などの一段譜表で、1stだけを指定するには、「1.」と表記。あるいは声部を上下に分け、符尾が上向きの声部を作成、下の声部には休符を置く。さらに念のために「1.」の表記があれば、誤解の恐れは全くない。

ちなみに、数字や楽器名の表記だけものがあるが、指揮者の立場で言えば、符尾の向きが上下にわかれて、休符配置を施された処理のほうが、視認性が良い。ページにまたがっている場合にはなおさらである。

4)一時的な「a2」
複数のパートが、一段にまとめられた譜表において、そのほとんどが、おのおのの声部で、小節のある一部分や一瞬の拍だけが同一音になるようなケースがある。この場合「a2」表記をすると非常に煩雑になるときに限り、上下両方向の符尾、あるいは重複された符頭を使用するとよい。ただし一小節を超えるような同一フレーズに対しては「a2」が適当。

5)「solo」と「one play」(加えて「soli」)
「solo」には主導するような旋律や浮き立たせるような重要なフレーズに対して使用するのが妥当。単純に伴奏型や背景で、ダイナミクスないしはバランス、あるいは、前後のフレーズとの兼ねあいなどを考慮した目的で使うなら「one play」が最も的確。つまり「solo」には形態以上に表情も含まれた意味合い。その後「solo」がリセットされるところには「tutti」もしくは「all (play)」を表記。
ちなみに「soli」は「solo」の複数形で、一見矛盾に満ちた解釈が成立しますが、旋律を浮き立たせるような意味が含まれていると判断すれば辻褄が合う。

6)「gli altri」と「another play」
同一パート内で、一人が独奏を担当し、残りの人が別のフレーズを演奏するような場合は、部分的に譜表を2段に分け、独奏に「solo」もう一方に「gli altri」と指示する。なお、これも旋律と伴奏のような対比関係であり「one play」と指定する場合は「another play」が適当だろうか。

7)弦楽器のストップ(重音)
同一パート内でも弦楽器は重音が可能なので、声部の分割(つまりdiv.なのか)を指定しているのか、あるいはストップを要求しているのかが、非常に紛らわしい。ストップにも組み合わせの限界があるので、そこから判断できることもあるが、どちらともとれるような組み合わせは一番困ってしまう。あえて奏者や現場の判断というのであれば、このような姿勢もありうるが、パート譜起こしの写譜業では、いずれにせよ混乱するから親切ではない。ストップであれば、カギ括弧で重音を括る。あるいは「non div.」と記す。もちろん「div.」であれば、その旨を表記。

Finale NotePad2008 日本語版登場

楽譜作成ソフト「Finale」シリーズの入門版的位置付けの「Finale NotePad」の最新日本語版が登場しました。
Finalenotepad2008

http://www.cameo.co.jp/notepad/

無償配布なので、製品版のFinaleに比べて、それなりに機能制限がありますが、シンプルな楽譜ならば、問題ありません。あと、Finaleを持っていない人とのファイルのやり取りにも便利です。

製品版を持っている場合、基本的にNotePadは必要ないものなのですが、意外な使い道というのがありました。Finale2007(Allegro2007)以降、認証登録が必要になり、登録できるコンピュータが2台までという制限があります。認証登録しないと、インストールから30日間経つと、印刷や保存ができなくなります。

先日、出先のPCで、ちょっとFinaleのファイルを開いて印刷だけしたいということがありました。いつも、モバイル用の外付けHDDを起動ディスクとして使用しており、これだけ持って移動しています。そのため、Finaleの認証登録は自宅のMacだけで行っているので、このHDDに入っているFinale2008は認証が無効になっています。案の定、製品版のFinale2008による印刷は無効でしたが、NotePad2008を使って、無事に開いて印刷することができましたとさ。

まぁ、こんな特殊な使い方や、こんなケースも滅多にないかもしれませんが、いやはやNotePadに救われたという。

| トラックバック (0)

外部MIDI音源の有効性

ここ数日、特に大きな編成のオーケストラと吹奏楽のスコアに取り組んでいます。
プレイバック用に、これまで内蔵のソフトシンセで十分だと思っていたのですが
やはり、パート数と発音数が大きな壁になりますね。

あわてて、押し入れで眠っていたRolandの「SC-88VL」(GS音源!死語か?)
を引っ張りだして来て、MIDIケーブルやら、インターフェイスやらをつないで
セットアップしました。

内蔵ソフトシンセだと、扱いが手軽ですが、音の分離があまり明確ではない?
というか、うまくブレンドされてしまい、かえって聞き分けに困難であることも判明。
外部MIDI音源だと、明確にパートが聞き分けられますね。
これが見直した点。

あと、発音の反応が速いですね。
Finaleなんかでヒューマンプレイバックを使ったりすると、再生までにタイムラグが
ありますが、普段はこれを活用しないで、さらに外部音源を再生させると
あまりのレスポンスの良さに驚きます。

ちょっとした再発見でした。

Sibelius5日本語アップグレード版申し込み

楽譜作成ソフト「Sibelius5」の日本語アップグレードの案内が届きました。

新機能はこちら

当初の告知から遅れること1ヶ月、いや実際に手元に届くのは2ヶ月遅れでしょうか。
本国とのトラブルがあったとか、なかったとか。

「Finale」同様にライセンスパックも用意されるようです。
しかし、申し込みはハガキだけなんですね。
しかもヴァージョンアップの価格が・・・・。
ちょっと驚きました。

Finale2007→2008が¥13650なのに対して
Sibelius4→5が¥29400

まぁ、価格だけで比較するものじゃないですが、それに見合った内容かどうかは気になるところです。
Finaleがオンラインでアップグレード申し込みできるのに対して、これまたハガキって・・・。

とはいえ、早速申し込みをしてみました。
またレポでもしてみます。

ちなみに、ちょうどここのところSib.データで楽譜出版用の版下を編集する仕事が重なっているのですが、
改めて感じることは、出版クラスの細かな編集をするためにはSibeliusはちょっと不便です。
それぞれに細かなフォーマットが決まっているので、それに当てはめようとすると出来ないことが多いのです。
だからラフな楽譜でお仕着せの中で作業する分には、Sib.は使いやすいですが、
そこから先の作業はやはり難しいというのが、実感です。
というわけで、そのうちMusicXMLなんかのインポートやエクスポートも試してみようと思ってますが。

| トラックバック (0)

Finale2008到着

楽譜作成ソフト「Finale2008」が到着しましたので早速インストール。

今回からマルチライセンス版があるようです。企業とか団体での購入・登録には、いいかもしれません。パッケージ届いてからインストールのタイミングがはやかったせいでしょうか、インストール後の登録認証が不能でしたが、しばらく間をおいたらできるようになった模様。

新機能はこちら

・「ブロック編集ツール」がなくなったこと。

最初の衝撃はこれです。「選択ツール」というのに統合されたようです。
この辺りは、Sibeliusの近づいてます。さすがにFinaleに慣れた手では、最初はちょっと戸惑いますが。

・オーディオトラックが用意された。

便利っちゃぁ、便利ですが。どのくらいの利用価値があるか、ないか。MIDIのプレイバックが、いくらかリアルに可能ならば、いいのかも。劇伴制作で、仮に歌やソロ楽器をのせてみるという使い方はアリ?

・楽譜書式のセットアップ。

これはいい、試してませんけど。Sibeliusでいう「ハウススタイル」だと思うんだけど。Finaleで過去の似たようなレイアウトを流用するときには、一度、ファイルそのものの中身(音符とか記号類)などを消去して、テンプレート化して使うようなことが多いと思います。でも、これだとゴミが残るし、ずっとやっているとファイルが重くなる、という現象もありますね。(データチェックかければ、いくらか解消されますが)差し当たっての手始めの煩わしさから解放されるというなら、歓迎ですが、これも試してみてから考えます。うっかり引き継がれない項目とかありそうですし。

・カラー符頭

これもどーでもいいです。っていう人が大半。教育用ですよね。
主に欧米なんかでは、音名と色の結びつけは、よく用いられるようです。ちなみに音名だけではなく、キー(調性)も色づけされるそうです。日本でも「色音符バイエル」とかあるらしいですね。

国内でいう色音符/色楽譜は田中すみ氏の考案だそうです。符頭に階名に合わせた色をつけ、五線との関係を見なくても、色で音の高さが分かるようにしたもの。

ド=赤、レ=黄、ミ=緑、ファ=橙、ソ=空色、ラ=紫、シ=白

そういえば、色といえば、スクリャーピンの共感覚による「色聴」を思い出します。

・スコアバインダー

これも、念願の機能のひとつパート譜しかないファイルからスコアを作れたりする。
あと、楽章モノで違う楽器編成でも、統合することができるらしい。聞いた話によると、なかなか感動的らしい。いずれ試してみます。

・セットアップウィザードの改良

「編曲者」名とか「サブタイトル」とか事前に入るようになった。うーん、すばらしい。あと、五線と五線の間隔も、あらかじめ細かく調整しておくことができるらしい。例えば、グループ間とか、加線が頻発するパート間とか。いいぞ。

あとは、スキャン機能向上とか、MusicXMLとか。このあたりは使う人が少ないだろうから、気にしない。

おいおい、細かなところをテストしてみます。

| トラックバック (0)

Finale2008、Sibelius5 日本語版リリース

●「Finale」「Sibelius」ともに日本語版・次期ヴァージョンが発表されていますので、まとめておきます。ちなみにどちらも本国ではリリース済みのものですが、こちらは日本語ローカライズ版の発売情報です。

・「Finale2008」(日本語版)1月25日(金)
 http://content3.e-frontier.co.jp/finale/

Fin2K8

・「Sibelius5」(日本語版)1月リリース予定
 http://www.sibelius.com/jp/sibelius/index.html

5Box

Sibeliusは当初12月頃リリースとなっていましたが、どうも諸事情で1月にずれ込んだようです。というわけで、どちらも同時期の発表になる予定。

●無償アップグレードの情報もまとめておきます。

・「Finale2008」
期間:2007年12月1日〜2008年2月29日
Fianle2007を新規購入で、ユーザー登録したものが対象

・「Sibelius5」
期間:2007年10月15日〜2007年12月31日
Sibelius4のユーザー登録したものが対象

年内中は、どちらも現行ヴァージョンを購入して登録しておくと、次期ヴァージョンのアップグレードが無償ということになります。

●「Finale2008」はいちはやくバージョンアップ受付を開始してます。
http://content3.e-frontier.co.jp/finale/upgrade.html

| トラックバック (0)

Mac OS X 10.5 Leopardへの対応状況

Finale2007、Sibleius4、それぞれLeopardでの状況などをまとめておきます。

[Finale2007]

・アプリケーションの起動時にアプリケーションがクラッシュする。
・アプリケーションの終了時にエラーメッセージが表示される
・JazzTextで作成したリハーサルマークのDが表示されない
といった現象があるようです。詳細な対応は以下サポートページで。
http://content3.e-frontier.co.jp/finale/os.html

[Sibelius4]
・ファイルが開けない、保存できないという問題があるようです。
修正パッチが用意されているので、以下からダウンロードできます。
http://www.sibelius.com/jp/sibelius/down/fix02.html

| トラックバック (0)

=スコアとパート譜の連携対決(5)

このシリーズ最後の項目となるが、Finale2007(Fin.)の【あともう一歩、残念なところ】をあげてみよう。

×スコアとパートで「テキスト」の文字サイズを切り替えられない。

Sib.においては、文字テキストもスコアとパート譜で異なるサイズ(ポイント)属性が設定できる(=スコアとパート譜の連携対決(2)参照)が、Fin.にはそれがない。このために、最終的には従来通りの「パート譜書き出し」を行わざるを得ない。手間を惜しまなければ、パート譜用のサイズのテキストを別途スコアに書き込み、スコアでは非表示、パートのみ表示という設定をすることも可能ではある。(一方、パート譜上では、スコアサイズのテキストを非表示に設定するわけだが、)しかし、これは煩雑で、スコア上では非常にごちゃごちゃするので、全くおすすめな方法とは言えない。

×松葉型クレッシェンド(デクレッシェンド)の横方向の長さ調節が独立してできない。

これもSib.では可能であるが、Fin.ではできないケースである。(=スコアとパート譜の連携対決(2)参照)松葉型の記号はスコアとパート譜では、縮尺や譜割りレイアウトが異なるので、横の長さや縦方向の位置などが必ずしも一致しない。特に横の長さは小節幅に因るので、スコア上では的確な長さが、パート譜上ではおよそ衝突したりする。(以下サンプル)

1_2
2_2

このため、これらを調整するためには、やはり最終的には「パート譜書き出し」を行う必要がある。ちなみに、縦方向の調整は独立してできる。横方向ができないのはマニュアルにも書いてあることから、ある意味、仕様なのだろうが、これはちょっといただけない。

×声部を分離したパート譜上で「道具箱ツール」が使えない。

これは、製品ページのFAQにも報告されているのだが、基本的に声部を分離したパート譜上では、一部の道具箱ツールを除いて、ほとんどが使えない仕様になっている。これが困るパターンとして、例えば、連桁の長さや角度を変更するようなケースだろう。(以下サンプル)

3_2
4_2

正しくはこのような修正が必要だが、この処理ができない。

5_2

×声部を分離したパート譜上で音符間のスペーシング処理がおかしいケースがある。

どのようなパターンで、このような現象に出くわすかはわからないが、このようなケースがままある。以下のように、詰め込み気味のパターンで出現する傾向があるようだ。(以下サンプル)

6
7

例えば、以下のように前後、小節割りを変更して緩めにすると気にならないが、これもまた困ったもんである。

8

×音部記号の独立処理ができない。

Sib.ではできるが、Fin.でできない。これは柔軟性に欠けている。(=スコアとパート譜の連携対決(2)参照)

×長休符(マルチレスト)の個別編集ができない。

独立したファイル上では可能なことになっているが、パートリンク機能の内部では、なぜかできない。バグ的なものだろう。試しに編集をしてみると、一見できたように見えるのだが、

9

一旦、他のパートへ表示を切り替え、あらためて戻って表示すると、デフォルトの状態に戻っている。

10

長休符の幅だけでなく、数字の高さなども変更できない。例えば、パーカッションなどの一線の時などは数字が浮いて見えるので、高さを低くすると見た目にも適当なのだが、このような処理ができない。「パート譜書き出し」後の個別のファイル上では、もちろん編集可能なので、いずれにしても最終的には「書き出し」処理が必須となってしまう。残念。

[2008.7.18追記]長休符の幅についてのバグですが、Fin.2007からは仕様が変更されたようで「長休符の自動更新」というオプションがあります。このチェックを外すことにより、手動で長休符の編集が可能になります。当方も途中で気付いたのですが、このエントリに修正を加えることをしてなかったのですが、Hossyさんのブログでしっかりとサポートされておりますので、詳しくはこちらを参照。このエントリー以外にもFinaleや楽譜作成、浄書にまつわる、大変有用な情報がまとめられていますので、紹介しておきます→『Finaleにまつわるエトセトラ』

×スコアとパートの表示ウィンドウの切り替えがやや煩雑。

Sib.ではデフォルトでパート譜表示のウィンドウが新規に開くが、Fin.では同一ウィンドウ内で表示だけが切り替わる。(キー・ショートカットで前後のパートには移動可能)幸いFin.ではウィンドウが複数開けるので、スコアとパート譜を同時に確認するためには、これを利用してもよいが、いささかスマートではない気がする。

| トラックバック (0)

«=スコアとパート譜の連携対決(4)