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2017.01.11

LcND2017/01「カセットテープの時代!?」

本年もよろしくお願いします!
LinkclubNews掲載コラム、01月分より、
タイトルは「ところで楽譜は読めますか?」
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2017年もよろしくお願いします!

昨年から加速しているのが、レトロブームなのか、それともデジタルに飽きたか、アナログレコードブームの次は、なんと「カセットテープ」なんだそうです。

Casettetape

東京は、おしゃれな場所でもある中目黒にカセットテープ専門店がオープンしたことが話題になっております。店の名前は「waltz」さん

・waltz | カセットテープ & レコード from 中目黒

単なる懐古趣味という枠では収まりきらないブームらしいです。そもそもカセットテープを知らない新しい世代もブームに加わっているといいます。この時代に新譜をカセットテープでリリースするアーティストを知って、さらに驚いております。アナログレコードと同じく、ちょっとノイズが交じったり、それでも抜群に音が太く、ややもすると音質が劣化するというのも、確かにデジタル時代にとっては斬新な魅力と受け取られるのかもしれません。もう、常にクリアで、画一化されたものはつまらないのです。

カセットテープど真ん中世代としては、なんか時代が一周して回ってきたかという不思議感覚なのですが、確かに、当時、FMでエアチェックして、レタリングしてインデックスシートを作って、オリジナルケースを作成ってのが、音楽を楽しむのと並行した大きなホビーだったということを、じっくりと思い起こしておりました。その頃に「裏と表」の概念を学んだのが、アナログレコードとカセットテープでしたので、そこで、必然的に人生の表裏のバランスも身に付けたような気がしないでもないわけで。そういえば、最近は多様性ってのが、あまり認められる文化ではなくなってきたようにも感じられるのですが、それもこれも、最近の音楽が単一でばら売りの如く取り上げられることが原因なのではないかと…。ちょっと大袈裟かもしれませんし、話しが逸れましたが、二面性を受け入れるには、やはりアナログ文化ってのも大事だなと思ったり。

先日、業界では、すっかり大御所のピアノアレンジャーさんとお話する機会があったのですが、耳コピ(採譜といいますが)するには、今もなおカセットテープを愛用されているとのことでした。同じ箇所を何度もリピートして聴かなければならないときには、やっぱり、手に馴染んだ頭出し、巻き戻しのアナログ感が必要だと伺った時に、確かに「わかる、わかる!」と、大きく納得してしまった次第です。繰り返し再生していると、テープが伸びてしまう危惧に対しても質問してみたのですが、10分とか20分の短時間テープなら、そこそこ大丈夫とのこと。確かに当時、120分テープは便利だけど、テープ自体は短寿命でした。幾度となくテープ絡ませてダメにした記憶が蘇ります。何でも薄っぺらで長けりゃいいってもんじゃないということ、太く短くタフという概念も、なんと「カセットテープ」に教えられていたのですね。

それから「ダビング」という概念。ダビングで劣化するので、マスター(オリジナル)という発想に行き着くわけです。オリジナルを常に大事にする、むやみやたらとダビングすると、クオリティーが落ちる、でもそこまでしても、どーしてもダビングしたい。その劣化の宿命との駆け引きがあったじゃないですか…。どうですか、このデジタルの無劣化が、昨今のコピペ文化を乱発させてしまったわけです。

と、このような老害発言をも巻き起こすくらいの爆発的魅力を含むメディアが「カセットテープ」なんだということで、収拾が付き難くなってしまった話題について、ここでは強引にまとめておきます。これからも、音楽の実態と同じくらい、その周辺のカウンターカルチャーを大事にしたいですね。

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