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2015.05.13

LcND2015/05「ワイヤレスMIDIの誘惑」

LinkclubNews掲載コラム、05月分より、
タイトルは「ワイヤレスMIDIの誘惑」
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ワイヤレス、無線、コードレス、まぁ、いずれの表現にしろ、どことなく不思議な魅力か魔力を感じます。
通信分野では、携帯電話が普及してから一気に無線化が進んできたような印象ですが、音楽ツールや音響機器で無線というのは、比較すると、シビアな実現化が難しいジャンルなのかもしれません。
近年、音の出口部分に相当するスピーカーとかヘッドホンなど、ワイヤレス対応が増えてきてますが、本当に最近というイメージです。

一方で、音の入力部分でいえば、例えば、マイクでも「ワイヤレスマイク」という装置が以前からありますが、楽器演奏の入力方法、もっぱら鍵盤タイプの電子楽器は録音といっても、実際の音を録音するわけではなく、MIDI信号を送って記録するという仕組みが一般的です。
このコラムでも幾度となく話題で触れてきた「MIDI(ミディ)」ってのは、それ自体が理解され難い用語の代表格ですが、要するにシンセサイザーのような電子楽器同士を同期、結びつける信号の取り決めであり、その演奏情報のこと。
それらMIDI信号をやりとりするためのケーブル、まぁコード線ですが「MIDIケーブル」そのケーブル同士を繋ぐポート、いわゆる「穴」を「MIDI端子」っていいます。
確かに、ここ数年の新製品を見ると、USB接続のものが主流でMIDI端子自体、そんじょそこらではお目にかかることがなくなりましたね。

ただ、やっぱり古い時代、往年の電子機器には、このMIDI端子しか搭載されてないよ。というのも多いですし、まだまだ現役で頑張ってもらわなければ。個人的に、最近の一番の関心事としてはMIDIのワイヤレスってのがあります。
あれは、ちょうど昨年の2014年の「楽器フェア」というイベントで、MIDIで制御されるオルゴール「カナデオン」の実機が展示されていまして、そこに取り付けられていた装置こそ、ワイヤレスMIDIインターフェース「mi.1」そのものでした。

・Wireless MIDI Interface mi.1

Mi11

ワイヤレスのMIDI装置が登場するという開発段階の噂は聞いていたのですが、実物を見た時のインパクトは大きかったです。
これまでありそうで、なかったこういう便利なものが、いざ実用化になったときの衝撃というやつを感じ、かなり興奮した記憶があります。
仕掛けとしては、BluetoothでMIDIを送るという、新旧技術の垣根を越えた発想でもあり、なんとも実に見事です。

このBluetooth技術を使ったMIDI送受信は、Macの最新OS X Yosemiteでは、OSレベルで実装されてまして「MIDI over Bluetooth LE」と呼ばれてます。
iOS8も、この技術に対応しているのでiPhone、iPadとYosemite搭載Mac間で、BluetoothでMIDI接続が可能という近未来っぷりが素晴らしい。機材同士の配線の煩わしさから開放される意義はかなり大きいです。
例えばワイヤレスMIDIインターフェースを家の片隅に眠っている電子ピアノやエレクトーンに装着してしまえば、手元のiPhoneからMIDIの演奏情報を送って自動演奏させるなんていう、ホテルのラウンジみたいなラグジュアリー風を満喫することできますね。

このワイヤレスMIDI装置「mi.1」当初は、レイテンシー、つまり鍵盤を弾いてから、音が発音されるまでの遅延があって、実用には厳しい面もあったそうなのですが、ファームウェアが最新になってからは、ほぼ気にならないところまで進化しているらしいのです。
Amazonでの取り扱いも始まって、これはぜひ試してみたい逸品。使えるシチュエーションと使えないシチュエーションがあるようなので、購入前にチェックしてみましょう。

・Amazon.co.jp: ワイヤレスMIDIインターフェース mi.1: 楽器

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