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2014.11.11

LcND2014/11「ノーテーションあれこれ」

LinkclubNews掲載コラム、11月分より、
タイトルは「ノーテーションあれこれ」

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KAWAI(カワイ)のコンピュータミュージック部門が、
とても気になるアプリをリリースしてくるので、注目しておりましたが、
ここで「タッチノーテーション」という、手書き楽譜作成アプリまで登場。

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・KAWAI コンピュータミュージック タッチノーテーション

カワイと言えば、合唱みたいなイメージが、個人的には強いのですが、
どうも、最近は、電子楽器、特にコンピュータ系も勢いがあるように目に映ります。
そもそも「スコアメーカー」という楽譜編集ソフトのシリーズは、
楽譜のスキャン認識が、そこそこ良いとの評判です。
むしろ楽譜作成業界標準の「Finale」という高機能ソフトよりも、
スキャン機能は優秀ということもあって、
国内メーカーでもあり、お手軽感が高く、
歌や合唱分野のユーザーには、わりかし浸透しているようなのです。

さて、誤解を恐れずにいうなら、
この楽譜のスキャン認識機能というものは、
大体において、眉唾物だということは、口をすっぱくして言わなければなりません。
この魅力的なキャッチフレーズに、どんだけ多くの愛好家が夢をみたことか…。

元の原稿のクオリティーによりますが、
例えば、状態の良いもので、ほぼ読み取れることがあったとしても、
部分的に読み取りミスや誤認識が残ります。
校正しながら、ミスの修正を繰り返す作業と、
最初から楽譜を確認しながら入力していく作業と、
双方かかる時間の対比をしてみることが重要です。
おそらく、頑張って入力したほうが、トータルで効率的になる、
と思われるケースが、まだまだ多いはず。
稀に、シンプルな楽譜に限っていえば、
スキャン認識が、ほぼほぼ成功することもあろうかと思いますが、
こちらの方が、レアケースなのです。

と、現実的な視点もあるのですが、それを踏まえた上で、
楽譜とパソコンのスキャン解析技術に、そこそこ長けていたのが、
カワイさんだったのです。
これをさらに推し進め、
楽譜とiPad、iPhoneなどのデジタルデバイスとの可能性を考えたときに、
画期的で斬新なアイディアを実現しているのが、カワイさんの凄いところ。
思い起こせば、2011年に「楽譜カメラ」というiPhoneアプリが登場したのが、
その発端だったかもしれません。
楽譜を部分的に読み取って、すぐに音として鳴らすという、
当時は最先端を感じさせるものでした。

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・KAWAI コンピュータミュージック 楽譜カメラ

翌年2012年に登場した「PDFミュージシャン」は、さらに衝撃的でした。
PDF楽譜を読み込んで、そのまま解析して、自動演奏させるiPadアプリ。

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・KAWAI コンピュータミュージック PDFミュージシャン

結果的に、実用的なレベルまでは達していない部分もあったりしますが、
それでも「ドラえもん」的な、ワクワク感のあるアプリを連発してくれているのです。
その系譜で、満を持してリリースしたものが「タッチノーテーション」なんだと解釈しております。

さっそく興味津々で試してみました。
手書きの要領で画面上に書いていくと、リアルタイムで、楽譜フォント変換され、
同時に、選んだ楽器の音色で発音までしてくれるのです。
素晴らしいです。
普段パソコンで楽譜ソフトを使い倒している身としては、
断然そちらの方が都合がいいのはわかっていますが、
外出時のメモ書きとしての利用価値はありますね。
もちろん、最初は操作に慣れる必要はあります。

作成した楽譜データは、SMFはもちろん、
楽譜ソフトの共通フォーマットであるMusic XML形式への書き出しも可能なので、
うまくデータの連携ができると思います。
楽譜作成の入り口として活用してみるには、お手頃な1,200円。
フリー版もありますので、ぜひ、お試しを。

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