LcND2014/09「最速オンラインで、マスタリング」
LinkclubNews掲載コラム、09月分より、
タイトルは「最速オンラインで、マスタリング」
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話題になっているオンラインサービスに「LANDR」があります。
Webブラウザから音楽ファイルをアップロードするだけで、
自動マスタリングしてくれるという、驚きのサービスです。
そもそも「マスタリング」ってなんぞや?
そんなご質問もあるでしょうから、ごくごく簡単に触れてみます。
「マスターを作る」という意味があることからもわかるように、
レコードとかCDのプレス用のための最終データのことを「マスター」といいます。
このマスターを作るときに、実際にどのような調整が行われているかといえば
「アルバム」には何曲か入ってますので、それぞれ、繋げて聞いたときに、
不自然にならないように、曲間とか、曲ごとの音質や音圧の差を補正する。
というのが、本来の主な作業です。
音楽で、メロディーが違うとか、楽器の音色が違うなどは聞き取れるもの。
それに比べて、音質と音圧が違うというのは、全く微細な違いですので、
意識をしないと、これはなかなか聞き分けることが難しいです。
しかし、微細な違いすらも重なると、トータルで印象の違いくらいにはなるものです。
多少なりとも、自分でパソコンで作ってみた、
あるいは、録音してみたでもいいのですが、
市販のCDと比べてみると、なんだか迫力に欠けるとか、
音がヌケなくて、ちまちました感じに聞こえるなぁー、
といった経験は、されていると思います。
これは、単純にボリュームの問題ではありません。
同じ再生装置でも、音量の設定を同じにしても、
曲によっては、大きめに聞こえたり、控えめに聞こえたりと、
印象が違うことがありますね。
この謎多き違いを、専門職として生み出しているのが
「マスタリング・エンジニア」さんなのです。
「大きく聞こえる」=「音圧が高い」ということです。
一定のボリューム設定の中で、いかに「大きく聞かせるか」ということです。
大きく《鳴らす》のではなくて、大きく《聞かせる》か。
この違いが、まさにプロの技なのですね。
モノとして考えれば、出荷前の商品の最終チェックと、研磨ですね。
つまり磨いて輝きを出す仕事と考えればいいでしょう。
本質は変えずに、ぱっと見の印象を決定づける大事なお仕事です。
かつて「アルバム」の中での、調整・補正がメインだったのが、
いつしか一曲ごとにアップロードされる時代に変化してきて、
その聞き映えの基準が、ネット上に無数存在する、
その他大勢の楽曲と比較されるようになってきました。
ここで「音圧合戦」が繰り広げられるようになりました。
昨今は、こぞって「音圧」を上げる、
そして、聞き映えをよくするために「音質」を派手めにする、
といった、かつての補正から、積極的な加工のテリトリーまで広がってきたのが、
現在の「マスタリング」の意味合いであります。
この「マスタリング」を個人の知識と環境で行うことは当然難しいのですが、
DAWといったパソコンベースでは、チャレンジできる環境が広がってきました。
それでも、少し高価な専用ソフトと、手間をかける時間が必要でした。
この専門的で未知な時間を要する作業を、
なんと、オンラインで承ってしまうという発想は、
従来の常識を覆すものといっていいのです。
この「LANDR」無料アカウントでは、MP3フォーマットが可能となっています、
まずはお試しを。
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