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2014.07.15

LcND2014/07「ヒット曲とカノン進行」

LinkclubNews掲載コラム、07月分より、
タイトルは「ヒット曲とカノン進行」

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テレビ番組の作曲ネタで、たまたま、立て続けに取り上げられていた「カノン進行」
J-Pop、歌謡曲で多用されるコード進行ということで、
マキタスポーツさんという芸人さんが、ネタとしてやっているのを目撃。
その後に、深夜の音楽番組で、
未来のミリオンヒットの作曲家を生み出す塾のような企画で、
講師の作曲家が、ヒット曲の王道である、
カノンコードについて解説してました。

あちらこちらと方々で取り上げられているので、
既にご存知の方もたくさんいらっしゃることと思います。
Webでも検索すると、わんさか解説が出てくるのですが、
ここは、私なりに、まとめて綴っておこうかと思いましてね。

で、「カノン進行」とは、ハ長調の場合
CーGーAmーEmーFーCーFーG

Canon

これですね。カノン進行と名付けられた元ネタは、
バロック時代の作曲家、ヨハン・パッヘルベルが
生涯で書いた唯一のカノンであります。

・パッヘルベル カノン - YouTube
 http://youtu.be/MOBYK_reo-4

この素晴らしく流麗で均整のとれたコード進行が、時代を超えて、
洋楽、歌謡曲に多く使われているというのが、
一般に「カノンコードの魔力」というわけです。

代表曲は、こんなにありますよ。っていうのが、
みなさんが一番の興味を示すところだと思いますので、
こちらの動画を紹介しておきます。

・カノン進行メドレー - YouTube
 http://youtu.be/CWk4o8X45bo

それこそ、たーくさんありますが、古くは、チューリップの「心の旅」とか、
教科書にも載ってた、赤い鳥の「翼をください」
最近だと、AKB48「恋するフォーチュンクッキー」まで…
向かうところ敵なしです。

では、これだけ愛される理由を、少し突っ込んで分析してみましょうか。

コードネームってのは、英語の音名が元になってますから、
つまりコードネームの、始めのアルファベットのところが、
和音のベースの音になるんです。CならC(ド)、AmならA(ラ)がベースの音。
カノン進行のベースの動きを抜き出してみると、
ドーソーラーミーファードーファーソ→(ド)〜繰り返し

Canon2

ド→(4つ下がる)ソ→(2つ上がる)→
ラ(4つ下がる)→ミ→(2つ上がる)
ファ→(4つ下がる)ド→(4つ上がる)
ファ→(2つ上がる)ソ→(4つ上がる)→
ド〜繰り返し

ドーソーラーミーファードまで、(4つ下がる)(2つ上がる)が、
都合、3回繰り返しされてますよね。
最後のファーソは、逆に(2つ上がる)(4つ下がる)と
順番が入れ替わって、元のドに戻るように繋がるんです。

この規則正しい品格の良さが、
日本人気質にぴったりというのもあるでしょう。

さらに、CーG/AmーEm/FーC/FーGと分けてみると、

Cannon3

1)最初の1つめのCーG/は、ハ長調のスタートがはっきりして、全くブレない感じ。
2)次のAmーEm/は、マイナーコードが続いて、突然雲行きが怪しくなるのです、
3)3つ目FーC/で、またメジャーに繋がって、少しずつ希望が見えてきますよね、で、
4)4つ目のFーG/で、また力強く、冒頭の世界に戻っていくという。
 
この8つのコードの繋がりが、4つの起承転結という、
まことにシンプルな展開ストーリーに、はっきりと当てはめられています。
規律の正しさと、哀愁感と希望感のバランスのよさ。
説得力とサクセス・ストーリーが万人にウケる、一番の理由なんだと思います。

さて、未来のヒットメーカーのみなさん!
やりすぎると、あざとくなりますが、ほどよいバランスで、
計画的な、ご利用を願っておきます。

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