LcND2014/06「iPad Airで作曲できますか?」
LinkclubNews掲載コラム、06月分より、
タイトルは「iPad Airで作曲できますか?」
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エサ=ペッカ・サロネン氏が登場する、Appleの新CMが好評らしい。
・Apple - iPad - 新しい音を響かせる
どうでしょう、このスタイリッシュな作曲シチュエーションの魅せ方。
AppleのCMで、DTM、DAWなど、
コンピュータありきの音楽制作やバンドミュージックなど、
これまでもたくさんフューチャーされてきたと思いますが、
いわゆるオーケストラ作品などが、前面に取り上げられるのは珍しいですね。
スコア主体の作曲に携わるものとしては、これこそ実に憧れのスタイルなんです、
でも、きっと同じように実践するには、まだまだ難しいだろうな。
極私的な観点ですが、楽曲って、まずはコンセプトから入ります。
まだまだ音を組み合わせる前に、構造や仕掛けを先に決めてしまいます。
ここが見えないと、音ひとつすら選択できない。
完成後の作品は、実に愛らしいものには違いないのですが、
そこに至る作曲の過程こそが、行為の最大の醍醐味です。
一応、気分を盛り上げるために、A4サイズの五線紙を用意したりはするのですが、
落書き同様に、図形やら絵やら、キーワードやらを書きなぐります。
これを綺麗に読みやすく書けば、いわゆるちょっと前に話題になった、
人に作曲してもらうための「指示書」の類いになるのでしょうが、
もう自分だけのメモなので、判読すらできないような状態であることが、
ここでは重要です。
テキスト、グラフィックが入り交じった状態の「セルフ指示書」に、
ようやっと音符らしきものが書き込まれるのが、次の過程です。
鼻歌的なものもありますし、MIDIキーボードに向かって、
ひたすら指の反復運動を繰り返した結果、
朧げながら繋がった断片フレーズ、
はたまた和音の記号一発だけとか。
ここでもキー、テンポ、拍子などが確定していないケースがほとんどで、
まだまだ落書きの延長なんです。
書式のフォーマットはフリーの方がいいです。
ここまでの過程を、iPad上で行うということも、
ペン型のスタイラスと手書きグラフィック対応のメモアプリなんかで
実現できそうなのは、わかります。
後は気分が乗るか乗らないかだけでしょうか。
これまでの習慣というのもあるかな。
この落書き指示書から取り出した、
モティーフ、フレーズらしきものを、
Macの楽譜作成ソフトに転記しつつ、
組み合わせたり、変形したり、
ようやく音符によるスケッチらしきものが出現するのが、ここの段階です。
ある程度広いディスプレイでやるのが、効率的なので、
迷わずMac上で行いますが、ちょっとした作業なら、
外出中にiPadでもできるのでしょうか。
あとは、篭って、鶴の機織りの如く、
夜な夜な人の目を盗んでやることに慣れているので、
周りに他人がいても、羞恥心溢るる行為が出来るかどうか。
喫茶店でも作曲できるという人もいるので、これも慣れの問題かしらん?
さて、実際の譜面作成段階においては、
動画でも紹介されている「Notion」というiPadアプリがとっても気になります。
これは、早速試してみたくなりました。
譜面を作る機会がある方は、ぜひ。
・NOTION Music, Inc. - Redefining Notation Software
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