LcND2014/03「難聴について・著作権について」
LinkclubNewsDigest03月分より、
タイトルは「難聴について・著作権について」
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仕事柄、どうしても気になってしまい、佐村河内氏の会見を観始めたものの、
半ばで具合悪さに正直、辟易してしまい、
横目で観ながら締め切りの迫った楽譜の編集の仕事をしておりました。
総括として世間に与える印象は、新垣氏の会見とは雲泥の差といえましょう。
佐村河内氏の釈然としない開き直った感のある発言もですが、
今回はそれ以上に、マスコミや記者達の、
立場をわきまえない理不尽な振る舞いが腹立たしいったらありゃしない。
これからは、インターネットに流れる情報を、
それぞれの感性のアンテナで吟味し、
取捨選択していく時代になっていくべきだと、一層強く感じました。
さて、そのくだらない会見内容については、ここで触れることは避けようと思います。
しかしここから反面として前向きに学べることはあるだろうということで、
舵を大きく振りきって、
少しでも有用なポジティブな知識を導き出しておこうと思った次第です。
ひとつは「感音性難聴」について。
佐村河内氏の公表した診断書の右48.8dB、左51.3dBの聴力は
「中度難聴」また「感音性難聴」とも診断されており
「語音聴力検査」の最高明瞭度は右71%、左29%。
デジベルは音楽でも頻繁に使われる単位です。
音の大きさを表しますが、一般に通常レベルの会話の音量は、60dBといわれます。
もうひとつの感音性難聴とは、
内耳にまで伝わった音が、情報として神経を通して脳へ伝達される過程で
何らかの障害が生じて起きるタイプの難聴。
音楽家が発症を告白することがことが多い
「突発性難聴」も「感音性難聴」のひとつだそうです。
なお平均50dB(デシベル)の聴力についての説明など、
こちらのページが参考になります。
・聴力50dBとはどんな世界なのか、聞こえ方を解説 | 50dBの世界
この騒動で、聴覚障害に対する間違った認識が
助長されることだけは避けたいところです。
聞こえ方は白黒はっきりするものでなく、dBという基準でだけで
聞こえ方を診断するのは困難だということを念頭に置く必要があるようです。
マスコミ達が、こぞって疑心の眼差しを彼に向けた同様の行為を、
他の聴覚障害者に適用しては、ぜったいならないことです。
もうひとつ気掛かりなのが、楽曲著作権の問題。
先の会見で新垣氏は、著作権を放棄する旨の発言をしています。
現状でJASRACには、佐村河内名義で作品登録されていますが、
騒動以後、佐村河内名義の作品について、権利の帰属が明確になるまで、
利用許諾の保留をしています。
ちなみに調べたところ、
新垣氏は、JASRACの信託会員ではないようです。
このような状況で、該当作品の著作権は、どのように考えたらいいでしょう?
ポイントとしては、著作財産権と著作人格権の二つは切り分けて考えるということです。
僕の個人的な見解も、下記のページの内容とほぼ一緒でした。
・ゴースト・新垣氏は著作権を主張できる? | JIJICO [ジジコ] | 専門家による時事ネタコラム
真の作曲者には、著作人格権がありますので、これは他に譲渡することはできません。
人格権には「公表権」「氏名表示権」「同一性保持権」があって、
この場合「氏名表示権」を行使すると「作曲:新垣隆」
ということが可能になるかと思います。
一方で、経済的な著作財産権は譲渡や信託契約できるというのが考え方です。
既に、佐村河内氏は著作権の譲渡を受け、
それらをJASRACに管理を信託している状態です。
今回の会見で、新垣氏を名誉棄損で訴えるとの発言もありますから、
譲渡された著作権を、新垣氏に返上するということは考えにくくなりました。
ゴーストライター契約が公序良俗に反して無効と判断された場合でも、
クリーンハンズの原則の結果、最終的には、
佐村河内氏に帰属するという説明は下記のページにあります。
これもまず納得できる内容です。
・「佐村河内」楽曲の著作権は誰のもの? 「ゴーストライターの著作権」を考える|弁護士ドットコムトピックス
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