LcND2013/11「Cakewalkブランドの買収」
LinkclubNewsDigest11月分より、
タイトルは「Cakewalkブランドの買収」
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先々月末の発表ですが、
ちょっとした衝撃がコンピューターミュージック界隈に走りました。
といっても、一般ユーザーからすると、
ピンとこないかもしれないことですので、
掘り下げてみようと思います。
その発表は、タイトルの通り
「SONAR」がGibsonに売却されたというニュースでした。
・ローランド、音楽制作ソフト「SONAR」のCakewalkを売却 Gibsonに - ITmedia ニュース
補足しつつですが、音楽制作ソフト、
いわゆる「DAWソフト」ですが、
AppleならGarageBandとLogic、Cubase、Digital Performer、Pro Tools、
最近だとStudio Oneなんかが主流でしょうかね。
一方でWindows環境のDAWなんかも普及してきたので、
そちらでは、Singer Song Writerや、そしてSONARなんかが、
わりとメジャーなソフトと言えるのではないでしょうか。
「SONAR」の開発は米国Cakewalk(ケークウォーク)社なのですが、
実は日本でもおなじみのメーカー「ローランド」が
Cakewalk株式のほとんどを所有しています。
つまりは子会社扱いで、実質ローランドのDAWソフトが「SONAR」という認識。
そのCakewalkの株式をGibsonに譲渡・売却したということなのです。
株式譲渡のタイミングは10/31とのことなので、
既に行われたようならば、ローランドは、SONARを手放しました。
買収した側のGibson(ギブソン)といえば、
レスポールでおなじみのギターメーカー。
ちょっとオーディオ機器に詳しい方なら耳馴染みのある
「TEAC」(含む「TASCAM」ブランド)なんてのも、
実は2013年の4月からGibsonが資本・業務提携で実質、子会社化をすすめていて、
今回のCakewalkブランドを、そのTASCAMブランドの中で展開していくという発表
「TASCAM Professional Software」という新ブランドになるそうです。
なぜ衝撃かというと、
日本のDTM、コンピュータミュージックの業界を牽引してきたのは、
間違いなく「ローランド」であったわけです。
ヤマハとの二大メーカーによる効果もあったことも大きい。
その中心メーカーが、DAWの主力であるSONARを手放した。
もはやその分野から撤退?という雰囲気が、
全体に暗黙支配してしまうことではないでしょうか。
いやいや、ローランドには、
オーディオMIDIインターフェイスやハードウェア音源など、
ソフトウェア以外の画期的な製品があるでしょ。
というのも事実なんですが、
ハードソフトの両面としての売りがあったのは正直なところだと思うので、
その、がっぽり空いた穴はどうするのでしょうか?
現SONARユーザーに対しては、Gibsonの準備が整い次第、
サポートは移行するということで、
すぐにディスコンという雰囲気ではありません、
すでに米国では、最新版の「SONAR X3」が登場してますからね。
しばらくは現状を引き継いでいくでしょう。
一方で、古くからのDTMユーザーが心配していることに、
もう一つの背景があります。
あの「Vision」の開発元、Opcode(オプコード)社の歴史的顛末でしょうか。
思い起こせば懐かしい、
4大シーケンサーの時代。Performer、Vision、Logic、Cubaseですね。
わたしはPerformerユーザーでしたが、Visionもすごい人気でした。
今ではあたりまえのオーディオ機能が搭載された時代で、
PerformerがDigital Performerになったように、
VisonもStudio Visonと進化しました。
あれだけの人気ソフトでしたが、
2000年前にOpcode社が、Gibson社に買収され、突然開発が停止、
2002年頃だったかに、フリーウェアとして公開されたのは、
その頃最もセンセーショナルな出来事でした。
いわずもがな、今回もそんな危惧を連想してしまうのも、
無理はなしでしょうか。
これもまた動向に着目。
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