2017.04.11

LcND2017/04「追悼・梯郁太郎氏」

LinkclubNews掲載コラム、04月分より、
タイトルは「追悼・梯郁太郎氏」
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MIDIの父であり、レジェンドの「梯郁太郎」氏が4/2にお亡くなりになられました。享年87歳。

・【訃報】 代表取締役会長 梯 郁太郎 逝去のお知らせ|お知らせ|音と映像の融合と進化 、電子楽器と映像機器のATV株式会社

訃報についてFacebookで情報が流れはじめて、本当かどうかわからないまま、いつしか海外からの追悼メッセージで溢れ、ああ、やっぱり本当なのだと…。衝撃でした。あれから、ほぼ一週間経ちましたが、ようやっとメディアでもその偉業をとりあげる記事が上がりつつあります。

このコラムでも、そのMIDI誕生30周年のテーマとして取り上げたのが、2013年1月の4年前のことでした。ちょうどテクニカル・グラミー・アワードを受賞したタイミングでした。そこでも、個人的にMIDIのことについて思うところをつらつらと綴ったわけですが、やっぱり、音楽をやっている以上、語らずにはいられないのです。MIDIがあるおかげで、今の自分があるというのが、少なからず多くのミュージシャンが自認していることではないでしょうか?

なんといってもRolandの創業者としての功績でしょう。世界に名だたる二大楽器メーカーといえば、疑いもなくYAMAHAとRoland。しかし、Rolandの現経営陣との対立が大きく報道されたのは2014年のこと、その結果、Rolandを離れ、新たな電子楽器メーカーである「ATV」を設立したのです。

これも方々で取り上げられてしまったネタではありますが、ピコ太郎のPPAPで聴かれる、あの特徴的な「カウベル」サウンドもリズムマシンの名機「TR-808」ですし、ベースサウンドの「TB-303」何れも特定のジャンルには欠かせないサウンドであることは紛れもない事実であります。あるいはテクノであれば「MC-8」というシーケンサー。あれがなければYMOは聴けなかったかもしれず。

個人的には、DTMやMIDIというワードが広まった90年代、そして、これも標準的名機「SC-88」を使い倒しました。僕だけでなく、みんなが使ってました。良くも悪くも、よく混じる音でした、あれでベーシックを作って、あとはクセのあるオーバーハイムとか、キラキラ系にYAMAHAのDX重ねて作ってました。私もそういう世代ど真ん中でありました。ソフトシンセの移行期にハードウェアの音源を相当処分しましたが、実は「SC-88」だけは、今も押し入れの奥にひっそりと保管していたりします。

というわけで、このコラムは、実は今回が最終回なのでした。最後に訃報というのもなんではありますが、どちらも大事な節目であると感じましたので、このようなテーマで締めくくらせて頂きました。2004年から続けてきましたが、13年目の293回目ということで、永きに渡り御愛読、誠にありがとうございました。私は、これからも書籍やSNSなどで発信してまいりますので、別のメディアを通じて今後ともお付き合いいただければ僥倖の極みであります。

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2017.03.14

LcND2017/03「Google Paly Musicとは?」

LinkclubNews掲載コラム、03月分より、
タイトルは「Google Paly Musicとは?」
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現行の定額の音楽配信サービスの3大サービスといえば「Apple Music」「Spotify」「Google Play Music」なのは間違いなさそうですが、「Google Play Music」については、このコラムで取り上げてこなかったことにあらためて気付きまして、ちょっと紹介しておこうと思った次第であります。

GooglePlayMusic

・Google Play の音楽

・Google Play Music 音楽のある生活・イルミネーション篇 - YouTube

テレビコマーシャルでもよく耳にする「Google Play Music」というワードでしたが、やはり他の音楽サービスで充分と思い込んでいたのが、私的には誤算、実はすごく有用な機能があることを見逃しておりました。そう、実は定額の聴き放題サービスに登録しなくとも、Google Play Music自体は無料で利用できるのですね。勉強不足でした。

ひとまず有料となる、聴き放題サービスについては、月額980円。「AppleMusic」と同額です。AppleMusicは学生のみの月額480円というのがAppleらしいなと。ちなみにGoogle Play Musicの家族最大6人の月額1480円というファミリー料金もありますが、こちらもApple Musicの同じ家族6人のファミリーで1480円。お互い譲らずといった形です。登録楽曲数も大きな違いはありませんが、Googleが4000万曲以上と現状で一番の多さ、登録楽曲数がズバ抜けていて、ジャンルもマイナーなワールド系ミュージックが揃っていたりと、あらゆる国の音楽が聴けるというのも特長です。試聴環境では、Google Play Musicに限っては、ウェブブラウザーで利用できるというのも、いざという時に、便利で頼もしいかもしれません。

レコメンド機能もApple Musicを意識したものですが、2016年の11月にサービスを刷新し、機械学習システムを活用したサービスで、よりGoogleの方が強化されているといった評判も聞きます。これは、再生楽曲の履歴だけでなく、検索履歴やYouTubeの再生履歴、メールあるいはカレンダーなどの内容までも考慮、加えて時刻、場所、天気などの諸条件を加味して、時々でオススメの楽曲を予測するというものらしいです。他のサービスが、好みを予測してレコメンドしてくるのに対して、Googleのそれは「今、これを聴いてください」というような、ユーザーとの距離感を圧倒的に縮めてくる独自のレコメンドなのです。

そして最も魅力的なのは、最大5万曲をGoogleのクラウドサーバーにアップロード保管しておいて、各種のデバイスでストリーミング再生できるという、音楽サーバー的なロッカー機能を無料で使用できることです。ここでいう最大5万曲というのは、個人で使う分には、ほぼ無制限に近いと考えてもよいでしょう。手持ちのスマホの容量などを一切気にすることなく、所有の音楽ファイルを再生することができるというのは、考えてみればすごいことです。この機能だけでもGoogle Play Musicを利用する価値があるというもの。ちなみにiTunes Matchも、似たような機能ですが、Apple Musicの他にiTunes Match登録年額がかかりますので、どうしても、無料で使えるGoogleに惹かれてしまいます。私も、さっそくこのロッカー機能を試してみましたが、パソコンからアップロードして、スマホでもすぐに再生されるという、ケーブルレスの同期利便性が快適すぎて驚きました。

無料のロッカー機能、かなりおすすめですし、定額配信サービスも無料試用期間が30日ありますので、これを機に、ぜひお試しください。

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2017.02.14

LcND2017/02「音楽教室から著作権徴収の衝撃」

LinkclubNews掲載コラム、02月分より、
タイトルは「音楽教室から著作権徴収の衝撃」
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ネットでは、すでに大激論なのですが、2月に入ってすぐに、音楽業界にとって衝撃的なニュースが駆け巡りました。JASRACこと日本音楽著作権協会が、音楽教室からも著作権料を徴収する方針を決定したのです。

JASRAC LOGO

・音楽教室から著作権料徴収へ JASRAC方針、反発も:朝日新聞デジタル

私もこればかりは全くの他人事ではないので、すぐさまニュースに反応しましたが、さすがに驚きましたね。こんな解釈があっていいものかと…。ネット各所ですでに大きく取り上げられていますが、もう一度論点をさらっておきましょう。

ここでは「演奏権」が問題になっています。演奏権とは、公衆に聞かせる目的で演奏する権利(著作権法22条)です。これは生演奏以外にも、レコード・テープ・CDや再生装置などの再生も含まれます。お店のBGMだって著作権料が発生するのが現状。例外としては、非営利の場合(著作権法38条)です。ごく身近なカラオケだと、1回歌うごとに約5円ほど支払っていることになるそうです。これもカラオケの料金に当然転嫁されていると考えると、最終的には客が負担している構図とも考えられます。

さて、今回は、音楽教室のレッスンにも「演奏権」を適用して考えるというのがポイント。生徒さんが公衆にあたるのでしょうか。グループレッスンなら問題なく該当するのか、あるいは1対1のプライベートレッスンはこれに当てはまるのか? など、やはり解釈の難しい問題だと思います。そして、カラオケと同じように、生徒さんのレッスン料に、その著作権料が転嫁されることはおよそ想像できます。これが直接的な問題、それ以上に、もっと考えなければならないのが、社会構造への影響の方です。つまり音楽ビジネスや音楽そのものを嗜む文化の萎縮への懸念。

今回、検討されている音楽教室からの徴収額が、年間受講料収入の2.5%。つまり包括契約なんです。どの曲が何回使われたとか関係なく、一律にドン。って徴収するのです。放送やテレビ局はJASRACに対して、放送事業収入の1.5%を著作権料として支払っています。これも包括契約ですが、同じ包括契約でも、パーセンテージの違ってのも気になるポイントで、その算定根拠なども知りたいところです。

ちなみに、この騒動に対して「宇多田ヒカル」さんが、御自身のtwitterで「もし学校の授業で私の曲を使いたいっていう先生や生徒がいたら、著作権料なんか気にしないで無料で使って欲しいな。」という、つぶやきを残しています。ここでは勘違いされたか、混同がみられますが、正確に解釈する必要があります。ここで注意すべきは「学校」での話ではないのです。学校の授業での演奏に対しては、著作権法上、著作権料が不要というのは変わらないでしょう。(ただし、音楽の授業では不要であって、部活動は含まれませんので注意。)ともあれ何れにしても「学校」ではなく「音楽教室」が対象であることは区別しておかなければいけません。

これについては、さっそくヤマハ音楽振興会や河合楽器製作所など音楽教育事業者から結成された「音楽教育を守る会」が民事訴訟に踏み切るとの方針を固めたようですので、今後の動向を見守る必要があります。

・「演奏権」解釈めぐり対立 JASRAC問題 音楽教室が提訴検討 - 産経ニュース

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2017.01.11

LcND2017/01「カセットテープの時代!?」

本年もよろしくお願いします!
LinkclubNews掲載コラム、01月分より、
タイトルは「ところで楽譜は読めますか?」
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2017年もよろしくお願いします!

昨年から加速しているのが、レトロブームなのか、それともデジタルに飽きたか、アナログレコードブームの次は、なんと「カセットテープ」なんだそうです。

Casettetape

東京は、おしゃれな場所でもある中目黒にカセットテープ専門店がオープンしたことが話題になっております。店の名前は「waltz」さん

・waltz | カセットテープ & レコード from 中目黒

単なる懐古趣味という枠では収まりきらないブームらしいです。そもそもカセットテープを知らない新しい世代もブームに加わっているといいます。この時代に新譜をカセットテープでリリースするアーティストを知って、さらに驚いております。アナログレコードと同じく、ちょっとノイズが交じったり、それでも抜群に音が太く、ややもすると音質が劣化するというのも、確かにデジタル時代にとっては斬新な魅力と受け取られるのかもしれません。もう、常にクリアで、画一化されたものはつまらないのです。

カセットテープど真ん中世代としては、なんか時代が一周して回ってきたかという不思議感覚なのですが、確かに、当時、FMでエアチェックして、レタリングしてインデックスシートを作って、オリジナルケースを作成ってのが、音楽を楽しむのと並行した大きなホビーだったということを、じっくりと思い起こしておりました。その頃に「裏と表」の概念を学んだのが、アナログレコードとカセットテープでしたので、そこで、必然的に人生の表裏のバランスも身に付けたような気がしないでもないわけで。そういえば、最近は多様性ってのが、あまり認められる文化ではなくなってきたようにも感じられるのですが、それもこれも、最近の音楽が単一でばら売りの如く取り上げられることが原因なのではないかと…。ちょっと大袈裟かもしれませんし、話しが逸れましたが、二面性を受け入れるには、やはりアナログ文化ってのも大事だなと思ったり。

先日、業界では、すっかり大御所のピアノアレンジャーさんとお話する機会があったのですが、耳コピ(採譜といいますが)するには、今もなおカセットテープを愛用されているとのことでした。同じ箇所を何度もリピートして聴かなければならないときには、やっぱり、手に馴染んだ頭出し、巻き戻しのアナログ感が必要だと伺った時に、確かに「わかる、わかる!」と、大きく納得してしまった次第です。繰り返し再生していると、テープが伸びてしまう危惧に対しても質問してみたのですが、10分とか20分の短時間テープなら、そこそこ大丈夫とのこと。確かに当時、120分テープは便利だけど、テープ自体は短寿命でした。幾度となくテープ絡ませてダメにした記憶が蘇ります。何でも薄っぺらで長けりゃいいってもんじゃないということ、太く短くタフという概念も、なんと「カセットテープ」に教えられていたのですね。

それから「ダビング」という概念。ダビングで劣化するので、マスター(オリジナル)という発想に行き着くわけです。オリジナルを常に大事にする、むやみやたらとダビングすると、クオリティーが落ちる、でもそこまでしても、どーしてもダビングしたい。その劣化の宿命との駆け引きがあったじゃないですか…。どうですか、このデジタルの無劣化が、昨今のコピペ文化を乱発させてしまったわけです。

と、このような老害発言をも巻き起こすくらいの爆発的魅力を含むメディアが「カセットテープ」なんだということで、収拾が付き難くなってしまった話題について、ここでは強引にまとめておきます。これからも、音楽の実態と同じくらい、その周辺のカウンターカルチャーを大事にしたいですね。

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2016.12.16

LcND2016/12「ところで楽譜は読めますか?」

LinkclubNews掲載コラム、12月分より、
タイトルは「ところで楽譜は読めますか?」
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前回は各メーカーの「楽譜制作ソフト」が続々とヴァージョンアップしたことについて紹介しました。が、ちょっと話題を戻すようですが、そもそもの「楽譜」というメディアについてお話してみます。

音楽を嗜んでいらっしゃるかたでも「楽譜は苦手」という方は多くいらっしゃる。そもそも楽譜なんか読めなくても、歌は唄えるし、楽器だって弾けちゃうもんというのも事実ではあります。

ただひとつ言えるのは、楽譜は、音楽の設計図ですから、楽譜が結構読めると、音楽を再生する必要がなく、一目にして音楽が聴けるということなのです。これって当たり前のことなんですが、あらためて考えれば、すごく便利なものなんです。

突然ですが「タイポグリセミア現象」って、御存知でしょうか? 例えば、以下例文

みさなん、まだまださむいすでが、おんげきですか。かぜなどひていないいですか。

これ、間違っているけど、なんとなく読めちゃうってやつですね。特に大人は、これまでの経験で知っている単語が多いため、文字の順番が違っていても脳内判断で補完(思い込み)で読めてしまうというやつですね。

楽譜を読む=「譜読み」が得意な人ってのも、ほぼほぼこの「タイポグリセミア現象」をフルに活用しているとも言えるかもしれません。音符をひとつずつ読んでいるわけでもなく、なんとなくひとかたまり、慣用句的に把握していってます。特に和音(コード)なんかは、音符が、どのような形(フィギィア)で重なっているかというポイントを読みとるのが得意なわけですね。で、あとは記憶にあるコードの種別とコード進行の大まかなパターンと比較して把握して演奏する。ある種の将棋の「手筋」みたいなもんでしょうか?

「楽譜が苦手です」っていう、もうひとつの大きな要因は「リズムが読めません」というやつです。音の高さは、最初は時間がかかっても、数えていけばわかりますよね。ところがリズムだけは、一個ずつ考えれば考えるほど、全く意味不明になるのです。

リズムは分割法で考えなければならないので、小さなリズムの積み重ねではなく、まずは大きなかたまりを感じて、それを分けて把握する必要があります。簡単にいうと、拍単位でリズムパターン(音符の長さの組み合わせ)を身に付けてしまうのです。

文字だと伝わりにくいのですが、2拍のひとかたまりと捉えて8分音符を基準としたリズムの組み合わせを挙げみます。

 1)全部8分音符だと4つそのまま「タタタタ」
 2)最初の2つを繋いだリズムだと「タータタ」
 3)真ん中2つを繋いだリズムだと「タタータ」
 4)最後の2つを繋げば「タタター」
 5)最初の3つを繋いだリズムは「ターータ」
 6)後ろの3つを繋いだリズムは「タターー」

こんなものです。これに適当な好みのワードを当てはめて、あとは、メトロノームなどでカウントをとって練習するのみです。

 1)「タベモノ・タベモノ…」
 2)「ラーメン・ラーメン…」
 3)「ステーキ・ステーキ…」
 4)「カロリー・カロリー…」
 5)「ケーーキ・ケーーキ…」
 6)「カレーー・カレーー…」

今、8分音符を基準としましたが、同じ組み合わせを16音符基準で考える、あるいは4分音符基準で考えると、相対的なリズムは同じで、リズムのスピード、密度が変わるだけなのです。

といった練習方法をまとめた書籍を書きました。

・できる ゼロからはじめる楽譜&リズムの読み方 | リットーミュージック

9784845628794 2 thumb240x

来年の2月5日には秋葉原の「書泉ブックタワー」さんで発売記念セミナーなども行います。みなさまの御参加お待ちしております!

・あなたも「できる!」楽譜・リズムの読み方教えます-「できるゼロからはじめる楽譜・リズムの読み方超入門」発売記念セミナー- - 書泉/東京・秋葉原

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2016.11.09

LcND2016/11「楽譜ソフト戦争勃発」

LinkclubNews掲載コラム、11月分より、
タイトルは「楽譜ソフト戦争勃発」
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今年の下半期から、ノーテーションソフト(楽譜作成ソフト)界隈の動きが慌ただしくなってきましたので、ここでポイントなどをまとめておきたいと。ただでさえニッチな分野なので注目度が低いとは思いますが、誰かしら必要とされている方の関心に沿えばいいかなーと。

まずは、少し前の8月終わりですが、PreSonus(プリソーナス)社の「Notion」の最新バージョンの「Notion6」が登場しました。

Notion6 box screen

・Notion 6日本語版 | 楽譜作成&作曲ソフトウェア | PreSonus - MI7 Japan

なんといっても「Notion」は、iPhoneとiPad用のiOS版があるというのが強みなので、モバイルツールからのスケッチをPCに移行して仕上げていくのに魅かれます。そして同社DAWの「Studio One」との連携もポイントです。細かな面では、他の楽譜ソフトは音符の入力時にテンキーを併用することが多いのですが、Notionはデフォルトで通常のアルファベットキーで音価を指定していくのがユニークなところ。テンキーがないノートPCでの利用には便利かもしれませんね。そして値段がリーズナブル。

そして、定番老舗のMakeMusic社の「Finale」ですが、同じく8月には本国では新バージョンがリリースされました。

Finale v25 1 Blog 1x

・Finale Music Notation Software Products for Music Composition(英語)

Finaleシリーズは、これまでOfficeシリーズのように年号で区別されていましたが、今回より正規には年号表記が取れた形で、単に「Finale」という名称だけになってしまいました。ちなみに過去のバージョンと区別するため、便宜上ver.25(リリースから25年目らしいです)とされています。こちらは本当に細かな重箱の隅つつきの改善点がメインで、メリットは動作パフォーマンスがよくなった程度。やや魅力薄めで、近年OSとの親和性が低くなってきたのが悔やまれます。とはいえ、国内でも圧倒的シェアなので見逃せないは事実で、現時点では日本語ローカライズ中で、そちらの早いリリースが望まれます。

今月11月に入ってすぐに準国産、カワイさんの「スコアメーカー」が新しくなるとの発表がありました。

KAWAI scoremaker11 main

・楽譜認識&楽譜作成ソフト スコアメーカー シリーズ | KAWAI

合唱といえば「カワイ」なんですが、意外にコンピューターソフトの部門も素晴らしい印象です。iOS系のソフトでも定評がありますからね。この「スコアメーカー」も、既に20年続いているようです。大きな魅力は、やっぱりスキャン機能です。こればかりは他の追随を許しません。そして今回からはFinaleと同じく、バージョン名の数字が取れて「スコアメーカー」だけになり、ランクによって「Platinum」「Standard」「Elements」という括りになりました。実際のリリースは11月24日。

そして最後に、期待の新星、Steinberg(スタインバーグ)社の「Dorico」が、いよいよ11月25日に登場します。

Headline Steinberg Dorico

・What is Dorico

登場の噂やニュースは、結構前からありましたので、今か今かと首を長くして待っておりました。今回の記事には登場していない、もうひとつのメジャー楽譜制作ソフトである「Sibelius」の元開発チームが、2012年から研究開発してきたソフトということで興味津々ですね。しかもSteinbergのDAWといえば「Cubase」ですから、その再生プレイバック環境の充実にも注目が集まるわけです。個人的にはすごく楽しみです。

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2016.10.13

LcND2016/10「ようやくやってきたSpotify」

LinkclubNews掲載コラム、10月分より、
タイトルは「ようやくやってきたSpotify」
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世界最大の定額音楽サービス「Spotify(スポティファイ)」が日本でサービスを開始しました。

・Spotify

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こちらのコラムでも幾度となく取り上げさせてもらいました。2008年にスウェーデンではじまった、初期の音楽配信サービスで、日本に来る来るといいつつも、その後全く動きがなかったものですから、こちらも気が気じゃない感じですが、とうとうようやくその日がやってきました。しかし、遅かった…。本当に遅かったですよ! 事情は察しますが、国内では既にいろんな配信サービスが開始されてしまった感がありますので、後出しジャンケン感満載なのが、とても残念!

現時点では、エントリー制で、招待を申込む必要があるとのことで、本格開始は11月予定です。ちなみに我が家に招待コードが届いたのが、9月30日のことでした。結構早めの時期に事前登録した記憶があるので、そのおかげかもしれません。というわけで、さっそく登録作業をしてみました。登録作業は、とくに難しいことはなく、アカウントを作成でメールアドレスなどを登録するだけでした。

他の配信サービスとの違いは「Freeプラン」つまり、無料で聴けるということでしょうか。パソコンで聴く分には、選曲もできるので使い勝手は悪くないのですが、たまに広告が入って、次のプレイまで待たされるという仕掛けですかね。

すでに多くの人がレビューしているように、なんだかんだいっても邦楽に弱いというのは、事実でしょうかね。あとMacやPCアプリの操作性がよいのは確かに感じました。シンプルで動作も軽く、直感的な印象です。Freeプランだと音質に制限があるようですが、個人的には、そこまで気にならないレベルです。Macで作業中に、ダラダラとストリーミングしておくという用途で使ってますが、むしろ十分ですね。

お好みのアーティストから入るのがいいのですが、やはり曲漁りをはじめてみるのが、この手のサービスの醍醐味だったりもします。「J-トラック」というカテゴリがあったので、さっそく覗いてみてびっくりしたのは、あのYoutubeで再生回数2400万回の「ピコ太郎」の「PPAP(ペンパイナッポーアッポーペン)」がシングルとして聴けるという(笑 10月に入ってから、少しづつだと思いますが、J-トラックのアーティストや曲が増えているのは確かなようです。Spotify Japanが推薦するプレイリストの「J-Hits Rewind」ってのも、なるほど、40代にはたまらない過去のヒットソングを集めた選曲で、ツボをおさえていますね。

とにかく日本開始は感激すべきですが、行く先がどうなるかが疑問です。とはいえ、世界規模で1億人を超える世界最大手のサービスですから、そう簡単にポシャることはないとは思いますが、他の国内向けの配信サービスと、どのように差別化できるかに注目したいところであります。

その発端になるかもしれない気になるニュースとして「Spotify」が「SoundCloud」の買収するという報道があります。「SoundCloud」とは、音楽版Youtube的なサービスで、個人のクリエイターも積極的にアップロードして共有するサービス。さて、この融合は一体何を意味するものでしょうか? その真意は何か、とても気になるところではあります。

・SoundCloud - Listen to music

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2016.09.13

LcND2016/09「iPhone7とAirPods」

LinkclubNews掲載コラム、09月分より、
タイトルは「iPhone7とAirPods」
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待望のiPhone7/iPhone7 Plusが発表されました!

・iPhone 7 - Apple(日本)

Iphone7

今回も、いくつかの新機能がありましたが、もちろん、ここではオーディオ周りの変更点を中心に取り上げてみます。

まずはスピーカーがステレオになって、音量が2倍になるそうです。ステレオになるっていう噂は、かねてからあり見事に実現されました。最近は動画もiPhoneで観る機会なんかも増えてきたので、ステレオスピーカー搭載は歓迎でしょう。

次に、イヤホン端子が廃止されました。これも事前予測どおりなのですが、確かに思い切りましたねー。個人的にはiPhoneで音楽を再生することがないので、あまり不便を感じないのですが、iPhoneで音楽を楽しむ方は大勢いらっしゃるので、こればかりは、かなり影響が大きいでしょう。

従来の有線のイヤホンは、同梱の「Lightning-3.5mmイヤホンジャックアダプター」を使うことで使用できるようですが、それでもやはり充電中には使えません。それを見越してか、Appleでは純正のiPhone Lightning Dockを推奨しているようです。

・iPhone Lightning Dock - Apple(日本)

Dock station

しかし、これはデスクトップでしか使い難いので、モバイル用途には、二股のLightningアダプタータイプのBelkin社の「Lightning Audio+Charge RockStar」があります。

・Belkin Lightning Audio+Charge RockStar™

LightningAudio

いやいや、もはや有線のイヤホンを捨ててしまいましょうというのが、今回のAppleの思惑のようです。iPhone7と同時にワイヤレスイヤホンも発表してきました。むしろこちらが本命の「AirPods」

・AirPods - Apple(日本)

MMEF2

デザイン的には「EarPods」のワイヤレス版。左右分離型のBluetoothイヤホンで、ユーザーの反応的には賛否両論ですが、おそらく実際に手にしてみれば好意的に受け入れられそうなアイテムであることは想像できます。最近いろいろなメーカーが、ワイヤレスイヤホンを商品化していますが、iPhoneでの活用を見越して、これからますます加速していくことでしょう。このApple純正の「AirPods」の価格が16,800円。結構お高いようにも感じるのですが、このタイプの価格帯は現時点で2〜3万が相場なので、意外にチャレンジな値段なんですね。

この「AirPods」に仕込まれているのがW1チップという無線デバイス用チップらしいですが、従来のBluetoothよりも画期的で、iCloudやAppleIDで管理されたりとApple製品と親和性が高く、使いやすいと評判です。同チップを搭載したBeatsブランドの新型ヘッドフォン「イヤホン型BeatsXとオーバーヘッド型Beats Solo3 Wireless」もリリースされる予定で、デザイン的には、こちらも見逃せない。

・Beats by Dre | ヘッドフォン、イヤフォン、スピーカー、アクセサリー

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2016.08.10

LcND2016/08「注目されるブラジル音楽」

LinkclubNews掲載コラム、08月分より、
タイトルは「注目されるブラジル音楽」
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リオ五輪も開幕したということで、俄然、増して「ブラジル」に注目が集まっています。ブラジルといえば、もう音楽大国には違いないわけで、便乗してブラジル音楽について知ってみようという企画です。

ブラジルを代表するのは、なんといっても「サンバ」でしょう。今回のリオ五輪の開会式でも、日本人のサンバダンサーの工藤めぐみさんが注目されました。日本では「てんとう虫のサンバ」にはじまり「マツケンサンバ」などサンバと名のつくヒット曲はありますが、そのノリのよさをイメージしたもので、サンバの特色とはやや違っていますね。

「サンバ」の人気曲の中では「トリステーザ」でしょうか。これぞサンバテイスト全快であります、ものすごくハッピー。コーラスのララーラーラー♪の中毒性って、あらためて聴いてもすごい。

ちなみに、この動画は、ブラジル音楽のスターである、セルジオ・メンデスによるカヴァーですが、やはり彼のカヴァーでヒットしたボサノヴァテイストの名曲には「マシュ・ケ・ナダ」がありますね。

さて「ボサノヴァの父」といえば「アントニオ・カルロス・ジョビン」空港の名前になるくらいですからね。ジョビンといえば「イパネマの娘」。今回の五輪でも、彼の孫にあたる「ダニエル・ジョビン」がこの曲を演奏したということです。ちなみに、こんな貴重な映像はいかがでしょうか?

もうひとつ有名曲で「WAVE」です。ハービー・ハンコックと共演!

もうひと「ブラジル音楽の父」と称されるは「ピシンギーニャ」「ショーロ」を代表するミュージシャン。彼の誕生日4月23日は、ブラジルでは「ショーロの日」だそうです。

サンバ、ボサノヴァ、あるいはショーロで使われることのあるブラジル風の、いわゆるタンバリンが「パンデイロ」です。なぜかこの音を聞くと、やはりブラジルをイメージしてしまうくらい特徴のある打楽器。タンバリンといっても、ドラムのような多彩な音を表現できる楽器ともいえるでしょう。有名なパンデイロ奏者であるマルコス・スザーノ氏の演奏を聴いてみましょう。

そういえば、サッカー応援でも有名な「サンバデジャネイロ」ですが、本家オリジナルのアイアート・モレイラの「Tombo in 7/4」もかっこいいですね。いやー、夏だ!

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2016.07.12

LcND2016/07「ドラゴンクエストの音楽」

LinkclubNews掲載コラム、07月分より、
タイトルは「ドラゴンクエストの音楽」
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つい最近びっくりしたのは、東横線渋谷駅でドラクエの「序曲」が発車ベルとして使用されていたことです。ドラクエが30周年ということで、いろんなメディアで取り上げられています。

・「ドラゴンクエスト」の「序曲」を、東横線渋谷駅の発車メロディとして期間限定で使用します! |東急線沿線ニュース|東急電鉄

発車ベル的なアレンジかと思ったら、ほぼオリジナルのリアル音源だったので驚きました。やたらと元気がでそうな感じです。残念なのは、フレーズの切れ方が、どことなく不自然かなぁ。

CMでも驚いたのは、トヨタの「アクア」です。テレビという別のメディアから、ゲームでの馴染みの往年のサウンドが流れると、やはりドキッとして意識が釘付けになってしまいます。特に素晴らしいのは「おおぞらをとぶ」が採用されていたもの。あれは否応無しに感情が揺すぶられました。

どこまでもせつない、優雅なハイでロングなトーンではじまるメロディーに対して、クリシェっぽく下降していく低音で感情が高まり、ここぞというところでナポリっぽい和音が出てくるので、そのあたりで感情崩壊するわけです。裏で咆哮するホルンの壮大さも感涙ポイント。いやー、なんという名曲でしょうー、そこまで叙情的なゲームBGMも、当時は斬新だったでしょう。

と、ここまで書いておいてなんなんですが、わたし完全なまがい物で、ドラクエはプレイしたことありません。ただ、やはり世代的に大流行していたことは確かで、友達の家に行っては見聞きはしていたので、その音楽の素晴らしさだけは、身体に染み込んでおります。

ドラゴンクエスト音楽の生みの親「すぎやまこういち」さんについては、もう誰しもが御存じかとは思いますが、やはりとってもユニークな経歴なんです。音大の試験はピアノがあるので諦めて、仕方なく学費の安い東大に進んだとか。フジテレビの社員で名ディレクターだったとか、数々のヒット曲やCMソングだとかは、逸話はゴロゴロ出てきます。どこか生き様が違うってのが、大作曲家に備わっている資質なのかもしれません。

もっとも「すぎやまこういち」さんは、ゲーム音楽にクラシックの要素を持ち込んだ第一人者だとも思いますし、個人的には、東京・中山G1ファンファーレこそが、すぎやまこういち!って思っていたりします。

カッコいいというのにふさわしい堂々たるファンファーレ。ラスト前にベースがマイナーで下降して行くフレーズなども、よーく参考にさせてもらいました…。あるいはドラクエの「そして伝説へ…」の冒頭ファンファーレを連想したり。実は競馬も全くの門外漢ですが、JRAは著名な作家にたくさんファンファーレを委嘱しているのです。お金が回るって、そういうことなのですね。最後はタイトルと主旨がズレてしまいましたが、本題に戻すと、ドラクエの音楽は、いずれも神曲であることも間違いはないのです。

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