2016.08.10

LcND2016/08「注目されるブラジル音楽」

LinkclubNews掲載コラム、08月分より、
タイトルは「注目されるブラジル音楽」
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リオ五輪も開幕したということで、俄然、増して「ブラジル」に注目が集まっています。ブラジルといえば、もう音楽大国には違いないわけで、便乗してブラジル音楽について知ってみようという企画です。

ブラジルを代表するのは、なんといっても「サンバ」でしょう。今回のリオ五輪の開会式でも、日本人のサンバダンサーの工藤めぐみさんが注目されました。日本では「てんとう虫のサンバ」にはじまり「マツケンサンバ」などサンバと名のつくヒット曲はありますが、そのノリのよさをイメージしたもので、サンバの特色とはやや違っていますね。

「サンバ」の人気曲の中では「トリステーザ」でしょうか。これぞサンバテイスト全快であります、ものすごくハッピー。コーラスのララーラーラー♪の中毒性って、あらためて聴いてもすごい。

ちなみに、この動画は、ブラジル音楽のスターである、セルジオ・メンデスによるカヴァーですが、やはり彼のカヴァーでヒットしたボサノヴァテイストの名曲には「マシュ・ケ・ナダ」がありますね。

さて「ボサノヴァの父」といえば「アントニオ・カルロス・ジョビン」空港の名前になるくらいですからね。ジョビンといえば「イパネマの娘」。今回の五輪でも、彼の孫にあたる「ダニエル・ジョビン」がこの曲を演奏したということです。ちなみに、こんな貴重な映像はいかがでしょうか?

もうひとつ有名曲で「WAVE」です。ハービー・ハンコックと共演!

もうひと「ブラジル音楽の父」と称されるは「ピシンギーニャ」「ショーロ」を代表するミュージシャン。彼の誕生日4月23日は、ブラジルでは「ショーロの日」だそうです。

サンバ、ボサノヴァ、あるいはショーロで使われることのあるブラジル風の、いわゆるタンバリンが「パンデイロ」です。なぜかこの音を聞くと、やはりブラジルをイメージしてしまうくらい特徴のある打楽器。タンバリンといっても、ドラムのような多彩な音を表現できる楽器ともいえるでしょう。有名なパンデイロ奏者であるマルコス・スザーノ氏の演奏を聴いてみましょう。

そういえば、サッカー応援でも有名な「サンバデジャネイロ」ですが、本家オリジナルのアイアート・モレイラの「Tombo in 7/4」もかっこいいですね。いやー、夏だ!

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2016.07.12

LcND2016/07「ドラゴンクエストの音楽」

LinkclubNews掲載コラム、07月分より、
タイトルは「ドラゴンクエストの音楽」
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つい最近びっくりしたのは、東横線渋谷駅でドラクエの「序曲」が発車ベルとして使用されていたことです。ドラクエが30周年ということで、いろんなメディアで取り上げられています。

・「ドラゴンクエスト」の「序曲」を、東横線渋谷駅の発車メロディとして期間限定で使用します! |東急線沿線ニュース|東急電鉄

発車ベル的なアレンジかと思ったら、ほぼオリジナルのリアル音源だったので驚きました。やたらと元気がでそうな感じです。残念なのは、フレーズの切れ方が、どことなく不自然かなぁ。

CMでも驚いたのは、トヨタの「アクア」です。テレビという別のメディアから、ゲームでの馴染みの往年のサウンドが流れると、やはりドキッとして意識が釘付けになってしまいます。特に素晴らしいのは「おおぞらをとぶ」が採用されていたもの。あれは否応無しに感情が揺すぶられました。

どこまでもせつない、優雅なハイでロングなトーンではじまるメロディーに対して、クリシェっぽく下降していく低音で感情が高まり、ここぞというところでナポリっぽい和音が出てくるので、そのあたりで感情崩壊するわけです。裏で咆哮するホルンの壮大さも感涙ポイント。いやー、なんという名曲でしょうー、そこまで叙情的なゲームBGMも、当時は斬新だったでしょう。

と、ここまで書いておいてなんなんですが、わたし完全なまがい物で、ドラクエはプレイしたことありません。ただ、やはり世代的に大流行していたことは確かで、友達の家に行っては見聞きはしていたので、その音楽の素晴らしさだけは、身体に染み込んでおります。

ドラゴンクエスト音楽の生みの親「すぎやまこういち」さんについては、もう誰しもが御存じかとは思いますが、やはりとってもユニークな経歴なんです。音大の試験はピアノがあるので諦めて、仕方なく学費の安い東大に進んだとか。フジテレビの社員で名ディレクターだったとか、数々のヒット曲やCMソングだとかは、逸話はゴロゴロ出てきます。どこか生き様が違うってのが、大作曲家に備わっている資質なのかもしれません。

もっとも「すぎやまこういち」さんは、ゲーム音楽にクラシックの要素を持ち込んだ第一人者だとも思いますし、個人的には、東京・中山G1ファンファーレこそが、すぎやまこういち!って思っていたりします。

カッコいいというのにふさわしい堂々たるファンファーレ。ラスト前にベースがマイナーで下降して行くフレーズなども、よーく参考にさせてもらいました…。あるいはドラクエの「そして伝説へ…」の冒頭ファンファーレを連想したり。実は競馬も全くの門外漢ですが、JRAは著名な作家にたくさんファンファーレを委嘱しているのです。お金が回るって、そういうことなのですね。最後はタイトルと主旨がズレてしまいましたが、本題に戻すと、ドラクエの音楽は、いずれも神曲であることも間違いはないのです。

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2016.06.15

LcND2016/06「パソコン音楽制作超入門…その前に」

LinkclubNews掲載コラム、06月分より、
タイトルは「パソコン音楽制作超入門…その前に」
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浸透したワードとして「DTM(ディーティーエム)」があります。「Desk Top Music」の略でパソコンを使った音楽制作環境の総称ですか。その分、今の時代となっては、多少気恥ずかしい語感に感じる方もいらっしゃるかもしれません。それこそ、かつて生演奏やバンドサウンドが主体の時代において、パソコンを使って音楽を奏でることが、まだ珍しかった時代を想起するからです。

ともあれ、商業系の音楽では、もはやパソコンなしでは成立しなくなってしまったので、今どきDTMっていう括りに違和感すらも感じます。かつてのテクノサウンド! のようなシンセサイザー中心の音楽のイメージや、今どきのボカロのイメージがある方も多いかと思いますが、オーケストラや合唱だって、楽譜はパソコンで編集されたり、参考音源、デモ音源をメールやクラウドで共有したり、あるいは録音後の編集にもパソコンが不可欠ですから、そういった意味では、あらゆる音楽にDTMが絡んできます。

従来のプロ現場の商業音楽と、ホビーのアマチュアの音楽制作の大きな違いは、人の手によるテクニックを除けば、ほぼ使っている機材の性能と組み合わせの違いでした。例えるならば、業務用高級システムキッチンと家庭用のお手軽流し台のような違いで、完成後の料理のクオリティーにも直結していたことは事実です。ところが、流し台が効率的なミニキッチンに進化を遂げ、住環境の変化とともに、もはや、無駄な高級なシステムキッチンが流行らなくなってきたのです。もちろん一部の富裕層は依然として贅沢を維持していますが、料理のクオリティーは、台所の規模に依存しなくなってきた。むしろシンプルで取り回しのよいミニキッチンの方がコスパがいいという。音楽も同様に、プロもアマチュアも同レベルの市販のパソコンを使って音楽制作してます。もっというなら、パソコンに繋げる入力用の鍵盤や録音用マイクなども、昔ほどランクの差はありません。プロの料理人も家庭の料理人も、同じような包丁やフライパンを使っているのです。

ツールや機材で差がなくなった分、プロとアマチュアで差別化されることといえば、もちろん料理の腕前の違いと、使う食材そのものです。カニとカニカマは、そりゃ違いがわかるでしょ。生演奏のヴァイオリンとパソコン音楽制作で使用される内蔵シンセサイザーで鳴らしたヴァイオリンってのは、カニとカニカマくらい違いが顕著ですが、最近は本物のイクラと人工イクラくらいの差しか解らない相当リアルなフェイク食材が売られているので、プロはそれを素材として仕入れるわけです。イクラに限らず、フカヒレだってフェイクの時代です。近年はリアルと区別困難な食材が、どんどん開発販売されているので、ひたすらにリアルを追求して音源素材を、大量に買い込む結果になるわけです。

すいません、やや脱線しました。お伝えしたかったことは、メインの制作ツールとしては、現在お使いのパソコンに専用の音楽制作ソフトを導入することで、かなり本格的なクオリティーで音楽を制作、楽しむことができる時代になっていますよ。ということでした。

そんな契機になればいいなーということで、拙著新刊が6/24発売予定です。

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・できる ゼロからはじめるパソコン音楽制作超入門 | リットーミュージック

ここでは「Studio One Prime」という無償ソフトを使って、パソコンを使った音楽制作の手順を、サンプル曲を仕上げていくというプロセスを通じて体感してもらう内容になっています。とくに、絶対つまずくであろう、ソフトのインストールやセットアップの導入について、まるごと一章分を割いて説明していますので、パソコンが苦手な方にこそトライ頂ければ嬉しい限りです。

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2016.05.10

LcND2016/05「第3の放送とは?」

LinkclubNews掲載コラム、05月分より、
タイトルは「第3の放送とは?」
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ラジオ・テレビときて、第3の放送と位置づけられた放送があるのを御存知でしょうか? その名は「i-dio(アイディオ)」。

Ido
・i-dio 新放送サービス

東京、大阪、福岡の3エリアでは、3月からプレ放送がはじまっている新放送、テレビのアナログ放送が終わった後に空白になった周波数帯を利用した、マルチメディア放送。イメージは現在の無料配信のラジオに近い感覚ですが、ラジオと比較して違う点としては、音声は高音質で、他にもマルチメディア、つまり「画像・動画・テキスト・データ」なんかも配信受信できると。

もっぱら、最近ではインターネットでもラジオが聴けるようになってきまいしたが、そちらは回線の影響を受けるので、アクセスが集中すると繋がらなくなる可能性がありますが、こちらは、テレビ・ラジオと同じく「放送」なので、そういった取り合う心配はありません。電波状況が安定していれば、わりかし確実なメディアと考えられます。

思い返すと、ひっそりとサービスが終わっていた「デジタルラジオ」ってのがありました、終わったのは2011年3月末。このコラムでも取り上げたことがあったんですが、すっかり記憶の彼方。覚えている限りでは「デジタルラジオは、新しくV-Lowマルチメディア放送へ」っていう触れ込みが当時あったんですが、そのV-Lowマルチメディア放送ってのが、この「i-dio」に繋がっていることは間違いないのです。

私、4月末締め切られたモニター募集で、i-dioの受信用Wi-fiチューナーが当選し、手元に届いておりました、遅ればせながらさっそく設定が終わり、試しつつ書いております。現在のところ、この手のひらサイズの小型のチューナーと専用のiPhoneアプリで試聴するわけですね。Androidのアプリもありますが、何れにしてもスマホが必須の環境。近いうちパソコンでも試聴できると利用機会が増えるかもしれません。ちなみに手元に届いたwi-fiチューナーに充電用のmicroUSBのケーブルが同梱されていないのが潔いよい。在るものを使ってくださいと。

Wifituner

「i-dio」放送中の番組ですが、地域によって違っているようです。現在、関東甲信越では、6つのチャンネルが楽しめます。中でちょっと気になるのが「Amanekチャンネル」という車のドライブ・ドライバー向けのチャンネル。例えば、被災地支援ということで、熊本付近の道路混雑状況や降水情報などがリアルタイムで確認できる試験サイトが立ち上がっています。

・Amanekトラフィックスコープ

将来的には、このような災害支援情報を含めた、音声以外の交通情報などもi-dioを通じて、クルマ搭載の受信機に届けられることになるのでしょう。さらには「i-dio」の活用として「防災ラジオ」があります。「V-ALERT」という自治体の防災情報を配信するシステムが開発中で、その配信に「i-dio」を使う計画です。

「i-dio」の放送エリアですが、これから2017年度に向けて、中国四国東北、2018年度には、北海道、2019年には、全国世帯の80%弱を目指してサービス拡大とのこと。引き続き、サービス動向には注目したいところです。

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2016.04.13

LcND2016/04「Pな管楽器たち」

LinkclubNews掲載コラム、04月分より、
タイトルは「Pな管楽器たち」
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知人友人に管楽器プレイヤーが多いのですが、一時期「pBone」ってのが頻繁に話題に上っていました。いわゆるプラスティックトロンボーンです。

Imgres

・pBone Plastic Trombone: The Worlds Best Selling Trombone

子供用のおもちゃの楽器ではなくて、素材こそプラスティックですが、作りや音は本格的なトロンボーンです。まぁ当時「ああ、この9色カラフルさと扱いの手軽さを考えたら、これもアリだなー」と思ったもんです。お値段も日本のAmazonあたりでみても、2万円前後で購入できそうですし。もっぱら可搬性とか野外での酷な状況でも躊躇なく吹けそうですしね、それこそ気楽に扱えそう。

トロンボーンがあるなら、他の楽器もどうなの? ってことで調べてみました。トランペットなら「ワーバートン」というメーカーのTigerというブランドのプラスティック楽器が多数存在してます。

TigerTrumpet
・Warburton Music Products

こちらのトランペットは5色展開で、国内だと3万円前後、なんとpBoneより若干高いんですね。構造上仕方ないか。あと、国内在庫が限りなく少ないようです。さらにはピッコロトランペットなんてのもありますね。例えば、他のメーカーでは「Tromba(トロンバ)」ってのもあります。

・Buy plastic trumpets, trombones and the jazzbone from Tromba

こちらもトロンボーンとトランペットがありますね。トロンボーン特有のあの長いスライドの管を2重に巻いて、全体に短いスライドに加工した「ジャズボーン」というシリーズも興味深い、どことなく進化型。

Jazzbone

サックスでは「Vibrato」というのが有名です。

Vibrato
・Vibrato Sax/ ヴァイブラート・サックス

国内ではイシバシ楽器さんが取り扱っていて、金管と比べるとやや高いですが、それでも6万円前後。重量が1kgってのがとってもライト。そういえば、1950年に英国製の伝説のプラスティックサックス「Grafton(グラフトン)」ってありまして、チャーリー・パーカーやオーネット・コールマンが吹いてたりしてました。その貴重なサックス史を経て、現代に樹脂管が復刻したとも考えれるかもです。

クラリネットは「nuvo」シリーズというのがありました。

・NUVO ヌーボ 【公式サイト】

Clarineo

このNUVOでは、プラスティック・クラリネットの「クラリネオ」とともに、プラスティック・フルート「スチューデントフルート」も用意されてます。特に、フルートの吹き込み口の管が、アルトフルートやバスフルートのようにU字に曲げられていて、手の小さい子供でも構えが容易になる「jFLUTE」というのもあって、新型への前向きな配慮と改良が感じとれますね。

Studentflute

またNUVOには、他にも「DooD/TooT」という2つのシリーズがあって、DooDは簡易縦笛、TooTは簡易横笛といったイメージのオリジナル楽器。それぞれ本格的なクラリネットやサックスなどのリード系楽器への導入、フルートへの導入のためのプラクティス用として、とても有効ではないかと。なんせお値段が、4,000円と3,500円ですもの。
Dood
Toot

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2016.03.08

LcND2016/03「音階ってなんですの?」

LinkclubNews掲載コラム、03月分より、
タイトルは「音階ってなんですの?」
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唐突なテーマで恐縮ですが「音階」って、なんでしょうか?「音階」には、いろんなタイプがありますが、もっぱら「ドレミファソラシド」だっていうのは、おそらく大半の人は御存知です。じゃ、その個々の「音の高さ」は、どのように定めたられたのでしょうか?

この謎について歴史を辿ると、紀元前500年頃のギリシャの数学者、ピタゴラスに行き着きます。いわゆる「ピタゴラス派」は音楽や天文すらも、数学の一部だという認識に立ってました。「万物の根源は数である」という哲学にも通じるものです。

ピタゴラスの逸話エピソードとして、鍛冶屋の近くを散歩してたら、いくつかの鉄を打つ音が、すごくハモって聞こえてたと…。で、その金槌をよーく調べてみると、重さの比率が3:2だったとか2倍だったとか、つまり比率なんだね、ってことに気が付いた。しかし、これは伝説逸話であって、実際には金槌の重さの比率で、そのような現象にはならないらしいのですが、発想のヒントとしては絶対に見逃せない。その「振動数の比率」が、次のポイントです。

金槌の重さではなく、そのかわりに一本の弦を張った「モノコード」と呼ばれる装置を用いて検証していったというのが事実のようです。「モノコード」ってのは、ちょうどお琴のように、ピンと張った弦の途中にある支柱(駒)を移動して、弦の長さを自在に変化させて、弦を弾いたときに発生する音の高さを測定する装置といえばイメージしやすいですかね。

Monochord

ようやっと本題。一本の弦で、ちょうど真ん中のところに支柱を立てて弾くと、元の長さの時の音と最も協和して響く音が鳴るのです。ピアノでいうところの仮に「ド」が元の長さの音とすれば、ちょうど真ん中で押さえれば、弦の長さは半分になり、その時に鳴るのは「オクターブ上のド」です。つまり大事なのは、オクターブってのは弦の長さの比率=振動数の比率が、1:2ってところです。

同じように、弦の長さを1/3にすると、仮の「ド」に対して「オクターブ上のソ」が鳴るわけです。今度は「ソ」を基準にして1/3を鳴らすと「さらに上のレ」が鳴るという具合に、以下1/3の長さにする操作を繰り返すと「ラ→ミ→シ→ファ#→ド#→ソ#→レ#→ラ#→ファ→ド」と12回目で「ド」に戻ってくるわけです。ここではオクターブは相当高くなっていますが、オクターブ関係を還元して考えれば、音名としては同じ「ド」に相当するという意味。とはいっても、このピタゴラスの時代に、今のような「ドレミ〜」という音名は定まっていないので、あくまで、現代の用語を借りて説明しています。

FN COL 5 7 2mm 20

さて、この操作によって、音の高さが12個求められていることに気が付きます。すべてオクターブ以内に並べ直してみると、要するに1オクターブに含まれる12個の半音のピッチが、すべて階段上に求められることになります。ただ、このピタゴラスの検証では、ちょっとした不具合が生じます。12回繰り返して求められた「ド」と、理論上求めたオクターブの1:2の綺麗な比率で求められる「ド」の間に、若干の誤差が生まれてしまうんですね。

これを「ピタゴラスコンマ」といって、実際には約1/4半音程度の誤差なんです。カレンダーでいうなら、先の2月のように4年にいっぺん「うるう年」で調節するくらいの誤差のイメージ。ところが、カレンダーなら誤差調整で済んでいますが、いやいや、一年に30日、31日、28日なんて我慢ならない、毎月同じ日数(時間)になるように、12の月を均等に分けようじゃないか!と考えた結果が、音楽でいう「平均律」ってやつでしょうか。

カレンダー的には、30日の月と31日の月があっても、毎年決まった順序で進んでいくので、特に問題ないわけですが、音楽は12の音を均等に割ったおかげで、1月から急に10月に飛んで、また2月に飛んで、最後に1月に戻るみたいな、ランダムシーケンス、つまり全く誤差が気にならない自由な「転調」という究極の魔法を獲得したわけです。

そんなこんなで、音楽の基本的な仕組みを、もっとわかりやすくしたマンガ本が発売されます。当方が監修しております。興味持っていただけたら嬉しいです。

・マンガでわかる! 音楽理論|リットーミュージック

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2016.02.10

LcND2016/02「NAMM Show2016より気になるもの」

LinkclubNews掲載コラム、02月分より、
タイトルは「アナログレコード再燃の傾向」
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毎年恒例、世界最大級の楽器展示ショー「NAMM Show2016」が1月下旬に開催され、これまた数多く楽器メーカーが世界中から参加。すでにたくさんの現地レポートなどが、メーカーや楽器店などのサイトでまとめられておりますが、ここでは、私の本当に勝手な独断と偏見で気になる製品をピックアップしてみます。

まず「これイイ!」と思ったのが、ローランドさんのデジタルカホン「EC-10」

EC10
・Roland ELCajon EC-10 | Electronic Layerd Cajon

そもそも「カホン」と楽器は御存知でしょうかね? 名前の由来通り、スペイン語で「箱」というものです。スペイン語ですので、そもそもはフラメンコ発祥の楽器。木製の箱型で、イスのように腰掛けて手などで叩いたりしますが、タダの木箱だとつまらないので、内部にいろんな共鳴するものを仕込んで、叩く場所や強さによって、さまざまな音がなるというもの。イメージ的には「簡易ドラムセット」みたいな感じですが、ドラムセットに比べて簡単に運搬できるので、小さなライブハウスやストリートでは大変重宝する楽器なのです。

そのアナログテイストなカホンを、さらにデジタル化して電子音をプラス、もっと多彩な表現ができるようになりますね。もちろんアイディア自体は、昔からあったのでしょうが、実用商品化したという点で素晴らしいです。本当の意味でマルチパーカッション化してますね。今後あちこちのライブでの活用が期待されます。

次の「これイイ!」は、M-Audioさんの「Accent Module」

M Audio Accent Module
・M-Audio - Accent Module

ピアノ音源Moduleがいいですね。というのも、かつては鍵盤弾けば音が出て当たり前だったのが、いつしか音源非搭載のMIDIキーボード化した88鍵盤に乗り換えてしまった私なのですが、やっぱり、すぐに音が出るってのが有り難く感じる年頃になってきまして、またハード音源に戻りたくなってきました…。こんなニーズも多そうだなと…。目の付け所がいいですよ、最高。

もうひとつ「これワクワクする!」は、フランスの振興メーカーExpressive Eさんの「Touché」

・Expressive E

「トゥーシェ」と読むらしいのですが、新しいタイプのコントローラーです。「触る・叩く・滑らす」などの細かなアクションを感知して、音楽的表現をするものです。具体的にどんなことができるのかは、こちらの動画をご覧頂くけるといいですね。タッチ面が木製というのもポイントでしょう。アナログのインターフェイスって、なんだか無性に触ってみたくなるという。

もちろん、これ以外にも、有名メーカーの新製品などもたくさん発表されてましたので、また機会があれば、ピックアップして掘り下げて紹介してみます。貴方は、どんなアイテムが気になりますか?

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2016.01.14

LcND2016/01「アナログレコード再燃の傾向」

LinkclubNews掲載コラム、01月分より、
タイトルは「アナログレコード再燃の傾向」
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本年もよろしくお願いいたします。
さて、いわゆるアナログ盤レコードが、ちょっとしたブームであることは御存知でしょうか?

当初は、アメリカから端を発したものでしたが、日本国内でも数年前から徐々に広がっています。例えば、こちらの某大手レコードショップで検索をかけてみると「限定」とはなっているものの、多くのアーティストが新譜をアナログ盤でリリースしていることがわかります。

・アイテム検索 - TOWER RECORDS ONLINE

そもそも、私のようなアナログ世代としては、懐古趣味的な興味もあるのですが、いわゆるアナログ盤未経験のデジタル世代も、ここにきてレコードに注目しているというのが、なんとも時代だなと思います。アナログ盤は音質の良さも確かに認めますが、あのターンテーブルに盤をクリーニングしてからセットする所作、そして針を落とす一連の儀式があってこそのものでしょうし、コーヒーのドリップと一緒で、ある種、神聖な大人な嗜みなんだろうと。

一方で、デジタルのハイレゾ移行(高音質オーディオ化)も徐々に進んでいるのと、どうも対照的だなと思いきや、そうでもなく実は、絶妙に共存していることも面白いのです。例えば、音響楽器メーカーのKORGからは、アナログをハイレゾ音質でデジタル化する「DS-DAC10R」コンバータが、昨年末に登場しました。

DS DAC 10R

・DS-DAC-10R 1BIT USB-DAC/ADC | Audio | KORG

今年に入って、SONYからは、ハイレゾ変換対応のターンテーブル「PS-HX500」が、春ごろリリースされるとの発表がありました。

Sony ps hx500

・ソニー、アナログ盤をハイレゾ録音できるターンテーブルPS-HX500発表。DSD形式で取り込み、編集ソフトも無償提供 - Engadget Japanese

 さらには、パナソニックの高級オーディオブランドでである、テクニクスの歴史的レコードプレーヤーの名機でもある「SL-1200」シリーズが復活するというニュースも。

Turntable2 1 1

・名器SL-1200が復活! 2モデルで夏から発売 : ギズモード・ジャパン

テクニクスは、パナソニックがすでに生産終了のブランドとしていましたが、こうして復活させるという事態となると、なるほど、全世界的にもアナログ盤と周辺環境が、じわじわと盛り上がりをみせてきている証拠なのでしょう。もはや、極めて手軽で、垂れ流しに近いデータフォーマットの音楽に対して、アンチ利便性を主張するかのようなアナログブーム。それは、加速化が止まらない現代において、どこかしらシンプルに喜ばしい傾向だとも思いますが、いかがでしょう。

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2015.12.10

LcND2015/12「Cubase Pro8.5が登場」

LinkclubNews掲載コラム、12月分より、
タイトルは「Cubase Pro8.5が登場」
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主要な音楽制作ソフトである「Cubase Pro」の新ヴァージョン「Cubase Pro 8.5」および「Cubase Artist 8.5」が、先週12月2日に発表されて、すぐにダウンロード購入が開始されています。


Cubase8 5

・New Features


おおよそ、毎年年末に新バージョンが発表されるサイクルが定着しているので、今年も順当な形でのリリースです。私もさっそくインストール完了しましたので、実際の変更点などを紹介してみたいと思います。

起動して大きな変化は、メニューバーにVST Cloudという項目があり、サブメニューには「VST Connect」と「VST Transit」が見られますが、後者の「VST Transit」が今回の目玉機能である、クラウドを使った楽曲データ共有機能です。選択するとログインが要求され、すぐにユーザー名を登録するように言われるので、ペンネームのようなものを登録して、すぐに使えるようになりました。他人と制作中のプロジェクトを共有することで、昨今のトレンドである「コライト(共同作曲)」作業に真価を発揮すると想像しますが、個人用途でも出先環境での作業の継続などにも有効な印象ですね。早速、試してみようと思っています。

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MIDI入力で、地味ですが便利すぎる変化がありました。キーディター(ピアノロール)画面で、マウスでクリック入力した際、クリックを維持したまま上下にドラッグすると、そのままベロシティー(音の強弱や音色変化のようなもの)が変更できる点。なお、そのまま、MacのOptionキー(WinだとALTキー)で、ピッチ変更も出来てしまう。確かに試してみると、これは便利なんですね。実に好印象です。

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同じような改善としては、トランスポーズパネルにも、大きなデザインの変化がありました。小節の範囲を選択するところにパンチインアウトとループとの設定が分離したことに気付きます。このあたりも、ちょっとしたことですが歓迎すべきですね。

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Cubaseならではのユーティリティーとして「コードパッド」という機能があります。コード(和音)を、コードネームを指定するだけで構成音を展開かつ、和音も転回もできるという優れものなのです。私自身も講師活動の中で、和音に関する説明をする機会も多いので、便利に利用させてもらっているのですが、そのコードパッドにも、ちょっとした機能が追加されてました。従来は単にコードサウンドが鳴らされるだけでしたが、今回からは「基本コード」の他に「パターン」と「セクション」が選択できて、後者「セクション」を選択すると和音の構成音で、1音だけから、ルート付きの4音までの重ねる和音の厚みをコントロールできるようになりました。ベースと同時に鳴らす時に、不要なルートを省略して鳴らしたり、あるいは、楽曲に薄くパッド系サウンドを追加したいときなどにも実用性が高いかもしれません。

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他にも、ユーザー自身のオリジナルのショートカットを施した環境設定を保存して、別のPCやMacでも、瞬時に呼び戻すことができる「プロファイルマネージャー」やソフトシンセ「Retrologue」が「Retrologue2」になったりと、多くの改良がされていますので、Cubaseユーザーの方は、早速検討されてみてください。ちなみに、2015年10月15日以降にアクティベートされた、前ヴァージョンユーザーは、無償アップグレードできるそうなので、そちらも御確認ください。

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2015.11.11

LcND2015/11「TPPと音楽著作権」

LinkclubNews掲載コラム、11月分より、
タイトルは「TPPと音楽著作権」
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連日ニュース報道されている、環太平洋地域による経済連携協定、つまりTPPでありますが、21とも31分野といわれるようにテーマが広すぎて、一概になんともいえないという感じ。それでも、まだ食や貿易については関心が高いものですが、一方で知的財産に周りについては、どちらかというと一般には関心度が低いのではないでしょうか。

先日発表された、大筋合意報道で、音楽や書籍などの著作権の保護期間が、これまでの死後50年から70年に延長されることになります。平たく言うと、これまでは作者が死んでから50年経つと、PD(パブリック・ドメイン)つまりは公共財産となり、その音楽を使用するのは誰でも自由でタダだよ、となっています。TPP合意によって、この50年の枠が70年に延長されるのです。

さて、結局何が変わるんだろうか? って、すぐさまリアルには想像がつきにくいですよね。そもそも70年っていうのは、すでにアメリカがそうだから、それに準じましょうという国際基準論があります。しかもアメリカにとって知的財産の収入は最重要なので、その分野は絶対に無視できないよ。だから、日本もそれに従ってくれ。というシナリオですね。ちょっと話しは逸れますが、欧米すら以前は保護期間が50年から、さらに20年延長した過去があるのです。それは、あのディズニーですよね、あのキャラクター収入が50年で切れてしまっては大変だから、だったら法律を変更しちゃえっていうことで70年になったという説。(俗にいう「ミッキーマウス保護法」)

日本でも延長の歴史が繰り返されそうです。本題に戻りますが、保護期間が20年延長すると、誰にとって、何が損なのか得なのか? もはやバランスで考えるしかないわけなのですが、概ねデメリットが多いと思うのです。例えば、保護期間延長で著作物の権利者にメリットが多くなるような錯覚すら覚えますが、そもそも作者当人は死んでいますので、結局は遺族、子孫とかが権利や収入を継承していくのです。もちろん歓迎に値するのかもしれませんが、そもそも、その音楽コンテンツが没後も、どれだけが市場で利用され続けられるのか? という最大の問題があります。おそらく現在、没後50年ですら死蔵する可能性が高いのに、それがさらに延長することで、その時代まで生き残れるコンテンツは、さらに減少するでしょう。

もっと単純なところでは「孤児著作物」問題。経年の中で、権利者の把握が難しくなっていくということです。子ならまだしも、孫世代になると、もはや管理すら難しく連絡もままならない。これも死蔵に直結する事態でしょう。当方も、作家の端くれとして、今回の状況を捉えてみたとしても、生存中に作り出す作品のほとんどは見向きもされませんし、万が一、死後少しでも発掘して利用してもらえれば僥倖の極みですから、そんなわずかな期待すらも見込めない法律改正など考えにくいのです。限られた一部のキラーコンテンツを生み出した権利者だけに莫大なメリットがあることは理解できますが、果たしてどれだけの人が喜ぶのか、デメリットを感じる人が多いのならば、それを受け入れることは、グッドチョイスではないでしょう。

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